健康のための運動の目安はどれくらい?あなたの運動量と比較しよう

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運動は、健康のために良いと感じている方は多いのではないでしょうか。しかし、どの程度すればよいのか、運動をすればするほど良いのか解らないですよね。何を目安に、どのようなことをすれば健康になれるのか、具体的にご紹介しますので、できることから始めてくださいね。

健康カウンセラーの林さとみと申します。私が皆様のお悩みを解決します!
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ
相談者のAさん
相談者のAさん
いろいろ教えてください。

健康のための運動の目安

健康のための運動の目安

相談者のAさん
相談者のAさん
健康に良い運動量の目安を教えてください。
1日30分程度の運動を2-3日行うことが必要です。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

健康のための運動は、1日30分程度の運動を2-3日行うことが必要です。一週間で60-90分の運動と考え、週末に60分、週中で30分でもOKです。

連続で30分の運動が難しければ10分を3回に分けて行っても効果は変わらないと言われています。

歩く場合は、やや速め(93m/分)で、活動強度の指標=メッツが4以上のものを毎週60分以上行うことで効果がされにアップします。三日坊主にならないよう続けられる内容から始めることが大切です。

成人における歩数の目安

「毎日10,000歩以上歩きましょう!」と聞く機会が多いと思いますが、歩きすぎることで活性酸素が過剰に産生され、逆に健康に良くないことも解ってきました。活性酸素は、身体の細胞を酸化し 傷つけることで、病気や老化の原因 の一つになります。

適度な運動は、活性酸素が産生されても抗酸化物質で除去され、かつ抗酸化能力が亢進されるため、身体が酸化されにくくなるため、健康に効果的です。

運動の場合の成人は、18-64歳までの方を指します。日本の健康づくり施策の「健康日本21」では、成人男性=9,000歩、成人女性=8,500歩、を目標にしています。

高齢者における歩数の目安

日本の健康づくり施策の「健康日本21」では、高齢男性=7,000歩、高齢女性=6,000歩を目標にしています。

「自然に歩く」「やや速く歩く」「もう少し速く歩く」「隣の人と話ができる範囲で最も速く歩く」「最も速く歩く」といった異なる5種類の速度で、歩幅と心拍数から適切な強度を決めることが大切です。

<歩幅の目安> 身長に対する歩幅の割合身長155cm身長165cm身長175cm
自然に歩く(70m/分)37% 57cm61cm65cm
やや速く歩く(90m/分)45%70cm74cm79cm
できるだけ速く歩く(110m/分)50%  78cm83cm88cm
<心拍数>心拍予備の相対値の50-75%に相当する範囲が適当です。
70歳・安静時脈拍が70拍の場合、運動時脈拍は110 – 130拍/分の範囲となります。

この条件の方で、歩いたときの心拍数が、110拍/分より少なかった場合は、少し速度を速くして、また、130拍/分を超える場合は、強度が強すぎるため速度を遅くするなど調整しながら行ってください。

心拍数での目安 

心拍数とは、1分間あたりの心臓の拍動数で、運動強度にほぼ比例して直線的に増加します。

安静時心拍数60-80拍/分
推定最大心拍数220 – 年齢(50歳の場合 = 220 – 50 = 170)

運動強度は、年齢毎の予測最大心拍予備能(推定最大心拍数-安静時心拍数)の何パーセント(%HR reserve)という表現が理解しやすく、カルボーネンの式から求めるのが一般的です。

運動強度(%) ={ (運動時心拍数 – 安静時心拍数)/(推定最大心拍数 – 安静時心拍数)} x 100

心拍予備の相対値の40-85%の範囲が最大酸素摂取量を増加させます。

50歳・安静時の心拍数70拍の場合、運動時心拍数は115-155拍/分となります。

心拍数指標としてを推定最大心拍数の55-90%とすることが多いですが、その場合50歳の方で94-153拍/分となり、少しの運動で心拍数が94拍/分になるので、心拍予備の相対値の方が優れていると言われています。

適度な運動とは何か

適度な運動とは何か

相談者のAさん
相談者のAさん
そもそも適度な運動って何なのでしょうね。
適度な運動について具体的に解説しますね。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

健康のために行う運動は、「安全・効果的・楽しいこと」が大切です。適切な運動量は、体力・性別・年齢・運動経験・健康状態などの身体条件によって各自異なります。

運動量は「強度・時間・頻度」の3つの要素で、楽しく続けられる自分に合った運動量を設定することが重要です。

WHO(世界保健機構)では、全ての成人に1週間あたり体幹に近い大きな筋群の筋トレを週2回以上行うこと、または150分以上の中等度の運動、もしくは75分以上の高強度の運動を推奨しています。

個人差はありますが、「何とか会話しながら運動できる」中強度の運動の場合、おおむね心拍数が100~120拍/分程度になりますので、運動強度としての一つの目安としてください。

筋トレでの適度な運動量

1セット10-20回若しくは10-20秒行い、30秒インターバル(休憩)をはさみ2-3セット程度が理想です。1日に15-30分程度、週に2-3日程度から始め、慣れてきたら5-6日に増やして、1-2日は休養を取りましょう。

休憩と睡眠を取ることで筋肉の形成に必要な成長ホルモンが分泌され、筋肉の修復と合成が促進されると言われています。休養により以前より筋肉が強くなる=超回復するため、休むことが重要です。

週に2-3日程度の場合、胸(大胸筋)と背中(広背筋)、腹筋と背筋・大臀筋、太腿前(大腿四頭筋)と太腿裏(ハムストリング)、のように前後左右をまんべんなく鍛えましょう。

週に5-6日程度の場合は、効率的に鍛えるため「腕、上半身・下半身」と日によって部位を変えて行うことが大切です。

筋トレは、同時に複数の筋肉を鍛えられるため、鍛える筋肉を意識して行いましょう。

プッシュアップ、膝つき腕立て伏せ、リバースプッシュアップ
腹筋クランチ、レッグライジング、マウントクライマー
背筋上体反らし(バックエクステンション)、ヒップリフト
大臀筋ヒップリフト、ヒップアブダクション、ピップエクステンション
太腿前ワイドスクワット、プランク、レッグエクステンション
太腿後スクワット、レッグランジ、ヒップリフト

ウォーキングでの適度な運動量 

ウォーキングは、ただ歩くのではなく、正しい歩き方をマスターすることで、運動やダイエット効果が高くなり、また姿勢が良くなることで若返って見えます。

目線は真っすぐ10-20m前を向いて、呼吸は自然なリズムで、肩の力を抜いて肘を曲げて後ろに大きく振ります。腰の回転を意識すると歩幅が自然に広がり、股関節周りの筋肉が使われ運動効果がアップします。

ウォーキングは、中程度の運動となり週平均150分(1日あたり約20分)、できれば1回30分を5回に分けて行いましょう。ウォーキング(93m/分)は、1kmあたり約11分の速さで、運動強度は4-5メッツとなります。

ランニングでの適度な運動量

ランニングの運動強度は高いため、週に75分程度、25分を3回行うのが理想です。ランニング(161m/分)は、9メッツの運動強度で、1km当たり6分20秒の速さとなり、30分で約5km走ることになります。

少し強度が強すぎると思う方は、ジョギング(133km/分)=6メッツにすると、30分で4kmを走るペースです。

最初は、速さを気にせず、30分間走れる程度のペース(何とか会話ができる速さ)でゆっくりでもかまいません。30分走ることに慣れてきたら、少しずつスピードを速くしていきましょう。

メッツ(METs=Metabolic Equivalents)という運動や作業の強度を規定する単位があります。

中程度少し息が上がるが会話ができる程度:3-6メッツ:早歩き、筋トレなど
高強度息が上がり会話ができない:6-9メッツ:ジョギング、水泳など

日常生活の中でできる運動

日常生活の中でできる運動

相談者のAさん
相談者のAさん
日常生活の中でできる運動を教えてください。
工夫次第でいろいろとありますよ。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

特に運動の時間を取れない方も通勤や買い物時に早歩きすることで、有酸素運動の効果が得られます。エレベーターやエスカレーターを使わず、階段を利用することで下半身の筋肉が鍛えられます。

また、掃除機や洗濯物干しなど日常生活の動作を意識して行うことでちょっとした身体活動になり、テレビを観ながら、電車に乗りながらなど「ながら運動」でも結構な運動量になります。

階段を意識的に利用する

階段は、屋内にあるので天候に左右されず、オフィスや駅など身近にあるため、空いた時間に手軽にでき運動です。また運動量(強度や時間)も個人に合わせて調整できます。

階段を歩くことで、平坦な道を歩くより2-3倍の運動量があり、特に身体全体の筋肉の50%を占める下半身の筋肉が鍛えられるため、基礎代謝が向上し、運動不足解消に役立ちます。

階段100段で5-6km歩いた運動量に相当すると言われています。階段を上るために脚を引き上げることで、お尻(中臀筋)と腿後(ハムストリング)が鍛えられ、脚の付け根である股関節を意識して伸ばすようにすれば運動効果が高まります。

階段を下りると時は、お尻(中臀筋)と太腿前(大腿四頭筋)が鍛えられ、ゆっくり下りることで足の指・踵・脛・太腿、そして背骨まで刺激が伝わり、骨密度を高めてくれます。

<階段下りの基本姿勢>

  1. 背筋を伸ばし、目線はやや斜め下
  2. つま先と膝は、常に正面に向ける

(つま先が内側・外側に向くと重心がズレ膝を痛める原因になります)

股関節やお尻を意識することで、膝への負担が少なくなります。

  1. 左脚を一段下ろし、続いて右脚も一段下ろし同じ段で揃えたら、次は右脚から一段下ろす。足裏全体でゆっくりと着地するイメージ(土踏まずを意識して踏み込む)
  2. 腕は脚の動きに合わせて自然に振ります

通勤を遠回りする

週2回のスポーツクラブでの運動量は、消費カロリーで500-600kcalと言われています。通勤しながらの「ながら運動」も塵も積もれば山となるため、1日100kcalの運動量は可能です。

歩幅を普段より少し大きく(普段10歩で歩く距離を8歩で)することで、太腿が鍛えられ100m/分程度で歩けるようになるため、消費エネルギーが普通歩きの約2倍になります。

通勤の往復で計30分歩く場合、正しい姿勢で速歩(107m/分)するだけで、約100kcal消費できます。週5日続けることでスポーツクラブに行く運動ができることになります。

また、通勤カバンを後ろに振ることで身体もバランスを取るために体幹が鍛えられます(周りの方にぶつけないよう注意して振ってください)。

通勤で歩く距離が短い方は、少し遠回りをして歩く合計時間を30分程度にしてください。その結果、メタボが予防され健康を維持できる可能性が期待できます。

テレビを見ながら運動する

運動する時間を取れない方も、1日のどこかでテレビを観ていませんか。テレビを観ながら運動することで、ハードルを低く運動を習慣化できる可能性がありますね。

<カーフレイズ> 腹筋やふくらはぎなど下半身が鍛えられます

  1. 「正しい姿勢」でお腹を凹めた状態を作る
  2. 踵を上げてつま先立ちになり30-60秒キープ。30-60秒の休憩を挟み繰り返すことで効果が高くなりますが、コマーシャル毎でもOKです。

※「正しい姿勢」

  • 脚は膝を伸ばし肩幅よりやや狭く開く。つま先は真っすぐ前方向で踵と一直線
  • 目線は前を向くように顎を上げる
  • 背中と首は力を抜いて、背骨はS字カーブになるようにする
  • 耳⇒肩⇒股関節⇒膝⇒くるぶしが一直線になるよう意識する

<レッグエクステンション> 腹筋や太腿を効率的に引き締められます

  1. 安定した椅子に浅く腰掛け、椅子の端を両手でしっかりと握ります。
  2. 背筋を伸ばし背もたれに付けず、両脚を持ち上げ股関節と膝を90度に曲げ、身体のバランスをとりながらゆっくり膝を伸ばします。
  3. 連続して10回行いますが、その間は脚を床につけないよう注意しましょう。辛い場合は、最初は椅子の背もたれに寄りかかっても構いません。

<リバースプッシュアップ> 力こぶの後ろ(上腕三頭筋)、肩(三角筋)、背中(広背筋)を鍛えます

  1. 安定した椅子を用意する。手幅は肩幅に広げる。椅子の前に座るように腰を下げる。
  2. 座面に手が届いたらしっかりと支えるように手を置きます。息を吐きながら目線を前にして踵と肩が一直線になるよう伸ばします。
  3. 肘を90度になるまで曲げて、床ギリギリまで下ろします。
  4. 上下運動を15回繰り返し少し息が上がる強度に調整しましょう。

健康カウンセラー林さとみのワンポイントアドバイス

日常生活に少しだけ運動要素を取り入れることで、効果的に身体を鍛えることができます。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

ジムやフィットネスクラブに通わなくても、日常生活に少しだけ運動要素を取り入れることで、効果的に身体を鍛えることができます。

ちょっとだけ生活習慣を見直すことで、身体が軽くなることを実感できればモチベーションも高めることができますね。最初は1回からでも「できそうなこと」から実行して継続することが大切です。

まとめ

一人ひとりの体力が異なるため、自分に合った適切な運動量を行うことが大切です。一番測りやすい目安は心拍数ですので、強度の強い運動をする場合は特に注意しましょう。

回数より正確に鍛えたい筋肉を意識して取り組むことで成果もアップします。無理せずに楽しく続けられるよう目標を設定して取り組んでいきましょう。