笑顔が健康に良いって本当?科学的根拠を調査しました

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昔から「笑う門には福来る」ということわざがあるように、笑顔には多くのプラスの効果があると言われています。笑顔にはどのような効果が期待できるのか科学的根拠を提示しながらご紹介していきますので、「なるほど」と思えたことは、早速実践してみてくださいね。

健康カウンセラーの林さとみと申します。私が皆様のお悩みを解決します!
ジョギング先生 林さとみ
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相談者のAさん
相談者のAさん
いろいろ教えてください。

笑顔が健康に良いって本当?

笑顔が健康に良いって本当?

相談者のAさん
相談者のAさん
笑顔が健康に良いなんてことあるのでしょうか?
はい、実はあるのです。笑顔は健康に良いのですよ。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

24時間働き続け私たちの身体を調整してくれている「自律神経」があります。身体の活動時や昼間に活発になる「交感神経」と、安静時や夜に活発になる「副交感神経」の2種類あり、そのバランスが崩れると体調不良を起こします。

笑顔は、副交感神経を優位にし、緊張感を和らげるため、ストレス解消に良いと言われています。

また、笑顔は身体面についても、免疫力を高め病気予防になると言われています。それは、笑顔になることで善玉神経ペプチドが発生し、免疫細胞の要であるNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化するからです。

笑顔がストレス緩和となる論文

文教大学人間科学部石原俊一教授『自律神経系に及ぼす自発的笑いの実験的検討』によると、笑顔によって起こる末梢の変化は、主として表情筋の活動であるが、この表情筋からの脳へのフィー ドバックは実験的には必ずしも快情動を引き起こさ ない。

しかし一方で笑顔を作ると多少楽しい気分 になることもまた事実として知られている。  

例えば、「ペン・テクニック」と呼ばれる方法では、 被験者に微笑みに近い表情を作らせるために、ペンを唇に触れぬように前歯でくわえ、頬骨筋を主に収縮させる。

このように意図的に 微笑みの表情を作らせる条件でコミックを読んだ場合、面白さがはるかに強かったと報告されている。(志水、 2000)。

また、(余語 1991)の研究では、「エ」を繰り 返し発音すると外見上微笑みに似た顔になり、 「ウ」を用いると嫌悪に似た顔になることを利用 し、この際の顔面皮膚温および主観的体験について検討した結果、「エ」の繰り返しでは皮 膚温が上昇し、快の感情がみられたとのことです。

笑いの精神的効果

笑顔がもたらす1番大きな効果は、ストレス解消と言われています。笑うことで多幸感をもたらす神経伝達物質で「脳内麻薬」と言われるエンドルフィンが分泌されます。

また、笑顔の表情を作ることで、脳内には幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌が促進されます。

セロトニンによって、感情的な情報をコントロールできるため、自律神経の副交感神経が高めら安心感を得ることでストレスが解消されていきます。

「セロトニン」の分泌が多くなることで、質の良い睡眠に大切な「メラトニン」が十分産生されるため、質の高い睡眠がしっかり確保できるように、自然と体調が整ってきます。

笑顔は、明るい気持ちにしたり、気持ちを楽にするという効果もあります。気分が落ち込むことがあっても、笑顔でいるよう心がけることで気持ちがだんだんと晴れていくことも期待できます。

作り笑いでも効果的なのか

作り笑いでも自然の笑いと同じ効果があることが最近の研究で解ってきました。それは、脳が作り笑顔かどうか判断できないためで、口角を上げるだけで脳は「良いことがあった」と錯覚し、免疫細胞であるNK細胞の働きが活発になり免疫力が高まる効果が期待できます。

また、「フェイシャルフィードバック効果」といわれ、笑うことで、実際には楽しくなくても脳が楽しいと錯覚することで、気持ちも楽しくなる効果が起こります。

アメリカの心理学者、ウィリアム・ジェームズの名言に「楽しいから笑うのではない。笑うから楽しいのだ」があります。

笑うことで楽しい気持ちが深まり、笑って過ごすことが幸せを生むのです。笑うのが苦手な人は、「笑うから楽しくなる」を意識して、作り笑いから始めてみましょう。

声を出して笑う効果

口を大きく開けて声を出して笑える場面は、限られているかもしれませんが、顔を含め身体の様々な筋肉が鍛えられ、運動効果や免疫細胞の活性化が期待できます。

  1. 「はっはっはっ」と笑う方が、腹筋や横隔膜を鍛える効果があり、10-15分笑い続けることで、45分間有酸素運動をしたのと同じ効果と言われています。
  2. NK(ナチュラルキラー)細胞の活動が活発になり、免疫力が向上し、風邪防止やガンになりにくいことが解ってきました。
  3.  顔の表情筋が鍛えられるため、老化を抑えたるみなどの顔太り防止になります。
  4. 人相学的にみて、笑顔の中で最もいいのは、口を大きく開けて笑っている相です。声を出し笑う機会を増やすことで、運気アップさせ幸せを引き寄せられる可能性があります。

ジャーナリストのノーマン・カズンは、強直性脊椎炎という難病を患っていましたが、「10分間腹の底から笑うと2時間は痛みのない眠りにつける」と関係医師は記述しています。

これは笑いによって分泌された「エンドルフィン」には、モルヒネの6.5倍の鎮静作用があるからです。

自然に笑うことの大切さ

自然に笑うことの大切さ

相談者のAさん
相談者のAさん
作り笑いでも健康効果があるとのことですが、自然に笑うことも大切でしょうか。
そうですね。作り笑いが弊害をもたらすこともあるので、いろいろな面で自然に笑えると良いですね。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

会話は、「聴く」「話す」「しぐさや表情などの『非言語』で伝える」の3つの要素で成り立っています。

一番簡単な『非言語』は「笑顔」です。話し手は聞き手よりも46%も多く笑っているという研究結果があり、それは聞き手に自分の話を聴いてもらいたいという思いからと考えられています。笑うことはコミュニケーションの潤滑油となり、その場を和ませる力があるのです。

コミュニケーションが楽になる

「笑顔」は、人を和ませるだけでなく、相手の警戒心を解き、話しやすい雰囲気を醸し出します。笑顔で話しかけられて不愉快な気分になる人は少ないでしょう。

常に笑顔でいる人は「親しみやすい」「信頼できる」「嘘をつかない感じ」という印象を持たれることが多く、周りに人が集まってきます。

笑顔によって自然と会話が生まれ、相互理解が深まるため、信頼関係も築きやすくなります。

スウェーデンのウプサラ大学の研究結果では、「人は笑顔の人を見ながら厳しい表情をするのが難しい」という報告があります。

「一人が笑顔になれば、周りも笑顔になる」という考え方があり、実験を行った科学者によれば、笑顔の感染率は50%、しかめ面の顔は伝染せず、あまり周りに影響を与えないことが解っているとのことです。

相手に好印象を与えやすい

いつもニコニコと笑顔でいる人は、たとえ話すのが上手ではなくても、「朗らか」「場を明るくする」という印象を与えます。

まずは笑顔で相手に親しみやすい印象を与えることで、相手に心を開いてもらうことができて、打ち解けた関係になる可能性が高まります。

1971年に米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校の心理学者メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」は、非言語のコミュニケーションの重要性を説いた法則です。

「コミュニケーションを取る際に、どんな情報に基づいて印象を決定しているか」を検証し、言語情報が7%、声のトーン・大きさや話すスピードなどの聴覚情報が35%、表情やジェスチャーなどの視覚情報が与える影響が一番大きく55%としています。

話の内容と話し方が表情が一致していない場合、視覚情報が優先され印象が決定される可能性が高くなることを意味しています。

ただし、メラビアンの法則は、矛盾したメッセージが発せられたときが前提です。たとえば、話している内容は厳しい内容なのに、表情は笑っているなどの場合に、上記パーセンテージで印象を決定しています。

また、ペンシルベニア州立大学での研究では、笑顔でいると周りの人に好感を与え、親切に見えるだけではなく「仕事ができそう」「能力がある人」に映るという結果も出ています。

笑顔で話しする場合と無表情で話すときとでは、印象が全く変わってしまうことがあります。笑顔でいることで、自信が湧きポジティブ思考で行動できるため、信頼も得やすくなっていきます。

無理やり笑うデメリット

感情は単調でないため、だれかれ構わず常に笑顔でいることは、周囲に不自然さを感じさせ、八方美人と思われることに繋がります。

また、自分さえ我慢すれば周りが上手くいくと考え、いつも自分の気持ちを封じ込め、作り笑いで過ごしていると「自分が精神的に疲れる」「自分の感情に疎くなる」「相手に信用されなくなる」などの状況に陥り、将来的には心が悲鳴を上げてしまう可能性があります。

2015年アメリカ・ペンシルバニアの組織心理学者、アリシア・グランディ氏が発表した研究は、感情労働に従事する勤労者を10年以上調査した結果、「作り笑顔など感情を表に出す“職務”を禁止にすべきである」と主張しています。

例えば、作り笑顔は絶えず重いものを抱えているのと同じような身体的疲労を伴うものであり、そこで疲れてしまえば業務上のパフォーマンスが低下してしまい、最悪の場合、勤労者を“燃え尽き症候群”に導くことになると言っています。

健康に良い笑顔のコツ

健康に良い笑顔のコツ

「自然な笑顔=良い笑顔」をつくるポイントは、「口角を上げる」「目を細め目尻を下げる」「上の歯だけ見せるようにする」の3つです。

笑うと顔全体の表情筋がバランスよく鍛えられるため、血行がより、むくみやシワの予防、顔のたるみが改善され顔が引き締まり小顔になることが期待できます。いつも笑顔でいることは、アンチエイジングにもつながっていきます。

また、表情筋が鍛えられることで、表情豊かに笑えるようになり、表情が感情に影響を与えると言われているため、素敵な笑顔で心を晴れやかにしてくれる可能性があります。

眉間のシワを取る

眉間にシワがあると、「怒っているのかな」「気難しい人かな」「悩み事があるのかな」と話し相手に悪い印象を与える可能性があります。

近視の方の目を細めて見る習慣や、ストレスが溜まりしかめっ面になることなど、常に筋肉を緊張させた状態でいることは、シワを定着させることにもなります。

また、悲しい気分になると眉をひそめてしまいますが、そうすることで、益々気分が落ち込むことが研究で解っています。

眉間のシワは、老けて見えるだけでなく、人相にも影響するため、目の周りの筋肉を解し、眉間のシワを直接上下左右と指でつまんでほぐすことも効果的です。

マイナスな感情を表現しなくなるだけで、ネガティブな気持ちを最小限に抑えられ、負のフィードバックの連鎖を避けることができる可能性があります。

口角を上げると自然な笑顔に見える

口角を上げると「幸せホルモン」である「セロトニン」の分泌が活発になります。セロトニンが増えることで、常に気持ちが安定し心が満たされ幸せな気分にを継続することが可能になってきます。

実際に楽しいことが無くても、口角を上げて笑顔になるだけで、脳が「嬉しいから笑っている」と勘違いしてセロトニンの分泌を促します。

セロトニンが分泌されることで、小さなことにも幸せを感じることができるため、自然と素敵な笑顔に繋がっていきます。

また、セロトニンが十分であると質の良い睡眠に重要なメラトニンの産生も促されるため、成長ホルモンの分泌が盛んになる22-2時の時間帯に熟睡することで、ストレス解消・美肌効果などが期待できます。それにより、スッキリとした目覚めとなり笑顔で1日を過ごせることが期待できます。

眼差しをやわらかくする

「目は口ほどのものを言う」言葉がありますが、口は笑っているのに、目が笑っていない時は、「心から笑っていない感じで怖い」「本当はつまらないのかも」というネガティブな印象を与えてしまいます。

普段から喜怒哀楽の表現が苦手で表情に乏しい人は、心から笑っていても、表情筋が動かず、上手に笑うことができない傾向にあります。

人は心から笑っているときは、目を細めて目尻が下がる・頬の位置が高くなるなど表情が変わっていきます。

顔全体にある30種類の「表情筋」や目の周りの筋肉である「眼輪筋」を鍛えて、自然な笑顔ができるように筋肉を動かせるようにしましょう。

口と目の表情を一致させ、自然な笑顔を作れるようになれれば、周囲に好印象を与えることできるようになっていきます。

健康カウンセラー林さとみのワンポイントアドバイス

毎朝鏡に向かって、笑顔の練習をしましょう。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

子供は1日に400回笑うのに対して大人は僅か15回にも減ってしまうそうです。笑顔は、コミュニケーションを円滑にする要になるので、毎朝鏡に向かって、笑顔の練習をしましょう。

「ありがとう」と大きな声でゆっくりと話すと、自然と口が大きく開いて口角が上がります。どんなことにも感謝する気持ちは、心を豊かにし素敵な笑顔に繋がっていきます。

まとめ

笑顔は周りに伝染します。自分が笑顔でいることで相手も笑顔になり自分に返ってきます。辛いことや落ち込むことは誰にでもありますので、そんな時も最後は作り笑顔でも良いので、行動から感情をコントロールしてポジティブに過ごしましょう。

笑顔は会話の潤滑油になるばかりでなく、美容や健康にも効果を発揮しますので、気が付いたときは実践するようにしてくださいね。