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ウォーキングは、他のスポーツと比べて上手下手なく、相手がいなくても場所を選ばず手軽に誰もができる運動です。年齢や体力によって歩行速度には個人差がありますので、強度・時間・頻度など自分に合った内容を実施していくことが大切です。
Table of Contents
ウォーキングの健康効果
ウォーキングの効果は、「脂肪燃焼」「血流改善」「病気の予防」などです。ウォーキングは有酸素運動ですので、継続して行うと脂肪がエネルギー源として使われるため体脂肪が燃焼していきます。
ウォーキングは下半身の大きな筋肉を使うため、血流が良くなり心(脳)がリフレッシュされ、美肌やむくみ解消など自律神経が整ってきます。
総コレステロールの減少、生活習慣病やメタボリックシンドロームの改善や、体重を支えながら骨に適度な負荷を与える為、中高年女性に多い骨粗しょう症予防などの効果も期待できます。
有酸素運動とは
酸素を取り入れながら糖質や脂肪を燃焼させエネルギーを生み出しす運動を有酸素運動と呼びます。
運動すると、始めは肝臓や骨格筋に蓄えられているグリコーゲン(糖質)を二酸化炭素と水に分解し、その過程で造られるATP(アデノシン三リン酸)をエネルギー源として使います。
しかし体内に蓄えられているグリコーゲンはそれほど多くないため、次に、酸素を取り入れ体脂肪(内臓脂肪・皮下脂肪)を分解してエネルギー源として使います。脂肪は十分体内に蓄えられているため酸素が供給される限りエネルギーを造り続けることが可能です。
有酸素運動の効果
・肥満解消効果
ウォーキングを20-30分以上継続して行うと、脂肪がエネルギー源として使われるため身体についた脂肪を燃焼しはじめるので、肥満対策にも効果的です。ウィーキングより血流が良くなると体温が上がり基礎代謝が上がります。同じ日常生活でも消費カロリー多くなるため徐々にダイエット効果が現れます。
・血流改善
ウォーキングを行うことで全身の血流が良くなってきます。それにより、冷えやむくみ・肩こりなど、血流の低下による問題が改善します。
・生活習慣病予防
ウォーキングによって内臓の動きも活発になり、血糖値やコレステロール値がコントロールされ、糖尿病や高脂血症・高血圧などの生活習慣病を予防することができます。
また、心臓に適度な負担をかけることで血管の伸縮性もよくなり、動脈硬化など血管の疾患も予防できます。
・心肺機能の維持・改善
長時間運動を続ける為大量の酸素が必要になります。心拍数の上限が決まっているため、より多くの酸素を身体に補給するために心筋(心臓の周りの筋肉)の筋力向上を図り心拍出量を多くする必要があるためです。
・脳の活性化
血液循環が良くなることで、脳に十分な血液がいきわたり、脳内の神経細胞が活性化することで、脳の萎縮が抑えられ、認知症のリスクが約40%低下するという研究結果があります。
・ストレス解消
一定のリズムで身体を動かすため、セロトニン(神経伝達物質)の分泌が促進され精神的な緊張や抑うつ感情が低下し、心のバランスが維持されやすくなります。リズム運動を始めると、5分ほどでセロトニン濃度が高まり、20〜30分でピークに達します。
有酸素運動の種類
代表的な有酸素運動として、ウォーキング、ジョギング、ランニング、サイクリング、水泳、エアロビクスダンスなど。他にも球技やレクリエーションスポーツなど長時間継続して行える運動もあります。
また自宅でできる運動として、スロースクワット、シャドーボクシング、エア縄跳び、階段昇降、バービージャンプ、腿上げトレーニング、タバタ式トレーニング、体幹サーキットトレーニングなど。
人によって体力が異なるため、自分に合った運動強度の設定を行うことで、より効果的に継続していきましょう。
有酸素運動は脂質を消費する?
体内に蓄えられた脂肪は、消化酵素のリパーゼによって、脂肪酸とグリセロールに分解され、脂肪酸が全身の筋肉に運ばれ細胞内のミトコンドリアで分解されエネルギーとして消費されます。
体脂肪を分解するリパーゼは、体温が高くなると活性が高めるため、運動で体温が上昇し血流が多くなると、ますます体脂肪を燃焼するようになります。
一度体脂肪の燃焼が始まると、その後も脂肪を燃焼しやすい状態を数時間継続することができます。
脂肪燃焼効果が現れるのは歩きはじめてから20分以上経過以降と言われていますが、20分以内でも血流が改善し基礎代謝が上がることによるダイエット効果はあるので、決して無意味ではありません。
実際に、1日のウォーキングで10分を3回歩いた場合と30分を1回歩いた場合では、減量効果に差がないとされています。
ウォーキングに必要な筋肉
ウォーキングは他のスポーツと比べて負荷が低いので、どちらかというと遅筋のトレーニングになります。
筋肉は、一定の力を長時間発揮し持久力があり疲れにくい遅筋と瞬発的な力を発揮し持久力がなく疲れやすい速筋で構成されています。
ウォーキングの質を上げるには、股関節を大きく使い(少し大股)、腹筋群を意識して歩くことが大切です。
【着地時に働く筋肉(着地の衝撃を吸収する筋肉)】
おしりの筋肉 | 大殿筋、中殿筋 |
ももの裏側の筋肉 | 大腿二頭筋=ハムストリングス |
ももの前側の筋 | 大腿四頭筋 |
内もも(6つの)筋肉 | 内転筋群 |
足首を反らすための筋肉 | 前脛骨筋=すねの筋肉 |
背中の筋肉 | 脊柱起立筋 |
【脚を蹴り出す時に働く筋肉】
つま先を伸ばす筋肉 | 下肢三頭筋=ふくらはぎ(はい腹筋+ヒラメ筋) |
ももの前側の筋 | 大腿四頭筋 |
内ももの筋肉 | 股関節内転筋群 |
背中の筋肉 | 脊柱起立筋 |
ふくらはぎの筋肉 | はい腹筋+ヒラメ筋 |
股関節の前の筋肉 | 腸腰筋 |
消費カロリー(エネルギー)
体重50kg、身長160cm、歩幅「80cm(身長の½)」で30分歩く場合、身長の1/2の歩幅は「できるだけ速く歩く」速さになります。125kcalの消費カロリーになります。
「できるだけ早く歩く」運動は、5メッツの運動強度と言われ、5メッツx50kg x 0.5時間 = 125 kcal という計算になります。
ご自身の体重と身長から計算してみてくださいね。
100kcalってどのくらいの分量でしょう?
ご飯 | 1/2普通盛り(140g) |
バナナ | 1本分 |
チョコレート | 4個分(1包み:30kcal前後が多いです) |
ショートケーキ | 2/5個分 |
みたらしだんご | 1本分 |
運動強度を表す「メッツ(METs )」
前項の単位「メッツ(METs)」 は、「運動強度の指標」です。「座った姿勢で安静にしている時」を「1メッツ」とします。これは世界共通の基準です。
【体重50kgの場合】
安静座位時の消費量エネルギー : 約1.0kcal/kg/時 ⇒ 50kcal/時間
50kcal x 24時間=1200kcal(凡その基礎代謝量)
消費量エネルギー : ≒メッツ x 体重(kg) x 時間(h)
活動の強度:安静時の「1メッツ」を基準に何倍のエネルギーを消費するかで決定
普通に歩く | 3メッツ |
やや速く歩く(90m/分) | 4メッツ |
できるだけ速く歩く(110m/分) | 5メッツ |
ジョギング | 7メッツ |
ランニング | 9メッツ |
「できるだけ早く歩く」で1時間歩いた場合、5メッツx50kg x 1時間 = 250 Kcalのエネルギー消費になります。
ウォーキングのコツ
基本姿勢は、「背筋を伸ばした姿勢」です。横から見たときに、耳、肩、腰椎の前、膝、くるぶしが地面から垂直に一直線に伸びたような感じです。
脚は、しっかりと股関節を動かしてやや大股で歩くことを意識しましょう。お尻の筋肉を始め下半身の大きな筋肉を使うことができ、速度が増していきます。
腕は、特に肘をしっかりと後ろに引き、肩甲骨を動かすようにしましょう。身体の捻りを生み出して歩行の推進力が増し全身運動になっていきます。上半身の筋肉を使うことで、血流が改善し肩こりなどのトラブルも軽減します。
ウォーキングってどうやってやるんですか?歩くのと何が違うんですか?(ヤフー知恵袋より引用)
健康的なウォーキングの距離
「8000歩/20分」、1日24時間の総歩行数=8,000歩,その内「できるだけ速く」(隣の人と何とか会話ができる強度)の歩行を20分行うことを組み合わせることが健康に最適と言われています。
無理して長距離を歩くのではなく、1日30分程度歩くことを続けることが大切です。参考までに、「できるだけ速く」(100-110m/分)を20分歩くとすると約2kmになります。脂肪が燃焼する有酸素運動を目的とする場合は、30分歩き約3kmとなります。
個人の年齢や体力レベルを反映する自然歩行よりも「できるだけ速く」歩くことを、速度の目安としてください。
自然歩行の速度は、男性は80m/分程度、女性は70m/分程度で、最も消費エネルギーが少ない効率的な速度です。
心拍数や酸素摂取量は歩行速度に伴って増えていき、100m/分の歩行で、脚の筋肉への血液量は最高値になります。
120-140m/分になると歩行から走行に切り替わりますが、そのまま歩行を続けると消費エネルギー量は大きくなります。
ウォーキングの回数
長期間継続できる時間や頻度で行うことが重要です。有酸素運動の向上を目的とする場合は、最低一回につき30分間続けて歩き、それを2-3回/週行うことをお勧めします。
中高年者がウォーキングを行う場合は、始めは運動時間は短く、頻度も少なく設定し、徐々に増やしてください。
定期的な運動を行っていない中高年女性は、自然歩行の速度で3か月間、1週間に1回30分間歩くだけでも、全身持久力が向上していく可能性があります。
減量を目的の場合は、時間を長く、回数も多くすることをお勧めします。今より毎日10分ずつ長く歩くようにしたうえで、30分以上の運動を週2日以上行う習慣をつけていきましょう。
最適なウォーキングの速さ
「隣の人と何とか会話ができる程度」の速度が、あなたにとっての「中強度」の運動です。中強度は、大股で地面を力強く蹴る歩行、うっすらと汗ばむ程度の速歩き、会話が何とかできる程度の息が弾む歩行です。
多くの方は、「できるだけ速く歩く」速度になりますので、時速6-7kmを目標にすると良いでしょう。(初心者の方は時速3-5kmを目標に!)
【歩幅の目安】
普通に歩く (70m/分) | 身長の37%の歩幅 |
やや速く歩く (90m/分 ) | 身長の45%の歩幅 |
できるだけ速く歩く(110m/分) | 身長の50%の歩幅 |
正しいウォーキングの方法
歩く前に正しい姿勢で立ちます。「気をつけ」の姿勢です。あごを引き、直立する姿勢です。
脚はかかとから着地し、[かかと→足の外側→小指の付け根→親指の付け根→親指という体重移動を意識]、つま先で蹴り出すように歩きます。
背筋を伸ばしてお腹を引っ込め、視線を前方にし顎を引いて、膝をできるだけ伸ばして腰から前に出すようなイメージにます。腕は肩の力を抜いて肘を後ろに引く感じで振り、歩幅を広くし少し速めに歩きます。
呼吸は、吸うと吐くを1対2にします。息をすーっと吸いながら2歩歩いたら、ハーっと吐きながら4歩歩くきます。このコツを覚え、リズミカルな呼吸で心肺機能を高めましょう。
健康ウォーキングの注意点
「歩けば歩くほど健康になる」という認識は大きな間違いです。運動のしすぎは、関節への負担が増加し、体内活性酸素が増え免疫力も低下し健康を害することになります。適度な運動が健康を維持できる秘訣です。
また、歩くのに最も効果的な時間帯は、人間の体温がいちばん上がる夕方4~6時です。特に夕方に速歩きをすれば、筋肉に刺激が与えられ、血液のめぐりも良くなります。
朝は寝ている間に失われた水分補給し身体に吸収される時間を考慮し、起きてから1時間後から歩きましょう。
効能のためには無理しない
先ずは、今よりも身体を動かす時間を増やすこと、歩行時には中強度の歩行を意識することによって、無理なくウォーキングを続けることが大切です。
金曜日のウォーキングの疲れがまだ抜けない(´ε`;)
— 水海 沼@腐った段ボール!!!(*ゝω・)ノ (@midzumi_numa) August 5, 2019
体調や天候が優れない時は無理をせずに休み、調子のよい時は少し多く歩くなどして、1週間の目標を立てましょう。
ウォーキング後の疲れ具合いをみて、疲れが残る場合はやや目標を下げ、2か月間疲れを残さず継続できれば目標を上げるなど、目標の調整をしましょう。
体力に自信がない人は、リフレッシュも兼ねて1日5-10分歩くことを習慣にするところから始めてみましょう。体が慣れてきたら、時間を延ばしたり、回数を増やしたりするといいかもしれません。
日常生活の中でなるべく歩くように意識することも重要です。エレベーターやエスカレーターを使わず階段を使う。一駅前で降りて歩く、信号待ちは背伸びをして待つなど。
歩く時間帯
【朝に歩くメリット】
・朝の空腹時のウォーキングは脂肪の燃焼効率が良い。
・日光を浴びることでセロトニンが分泌され、1日を活動的に送ることができる。
・生活習慣の改善
(注意点)
・寝ている間に体温調整のため500mlの汗をかき、朝起きた時は水分不足で血がドロドロ。
水分を補給して身体に吸収するまでに20分は必要、起床後1時間以内の運動は避る。
・起床直後は体温が低く、筋肉が温まっていないため、身体が思うように動かない。
・夜型の人間にとっては、朝早く起きることが難しいので習慣化しにくい。
【夜に歩きメリット】
・生活サイクルと変えずに好きなタイミングでできるので、習慣化しやすい。
・自律神経が整いストレスが軽くなり、自然に体温が上がるときにさらに運動で体温を上げる為、
睡眠の質が上がると言われています。
・夕方に運動をすると成長ホルモンが分泌され、朝までに身体を再生・修復しやすくなる。
(注意点)
・就寝前に運動をすると交感神経が活発になるため、就寝直前は避け30分程度。
・日中に比べて視界が悪くなるので、事故などに注意。
健康カウンセラー林さとみのワンポイントアドバイス
運動は自分の年齢や体力レベルに合わせて無理なく適度に継続することが大切です。最初に頑張りすぎると故障に繋がり、長続きできません。
運動習慣の無かった人は、周りの景色を観察しながらゆっくりと歩くことから始めましょう。歩くことが習慣化できれば速度を上げたり、頻度を増やすことで運動量を徐々に増やしていきましょう。
まとめ
ウォーキングは、目的に応じた取り組み方ができます。健康維持を目的にしている人は、1回30分を週2-3回、自分の続けやすい時間に行いましょう。物足りなくなってきたら1回10分程度増やして徐々に1時間まで伸ばし、疲れが取れないときはしっかり休息日を入れましょう。
ウォーキングは、背筋を伸ばし、普段より歩幅を広げ、腕を大きく振ることで全身運動になり、寿命まで歩ける筋力を養うことに繋がります。また心肺機能や筋持久力が向上するので日常生活も活動的になっていきます。
健康運動実践指導者・健康管理士一般指導員の勉強を通じて、健康について運動・食べ物・メンタルなど多くの知識を身に付けています。
知識を知恵に換え実践することで、今でも体力年齢は20歳代をキープし、「華麗に加齢」を目指しています。 2019年3月から、一般社団法人日本ランニングファシリテータ協会認定コーチとして、イオンモールで朝活ランニングの指導をするなど、走る楽しさを伝えています。