この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。
脳の健康のために、三大栄養素をバランスよく摂り、しっかり噛んで楽しく食べましょう。脳の栄養源は炭水化物(ブドウ糖)です。タンパク質(アミノ酸)は精神を安定させる働きがあり、脂質は脳の働きを高めてくれる重要な役割があります。
脳の健康に良い食事のスタイル
脳の健康に良い食事は、身体の健康と同じで、朝昼晩(2:2:1の割合)規則正しく、彩の良い栄養バランスの摂れた食事をすること、就寝2-3時間前には夕食を終えておくことを習慣化することが大切です。
食事のスタイルは、「和食」=季節を取り入れた一汁三菜や「地中海料理」=地中海地域の人たちが食べている伝統的な食事(精製度の低い穀類・豆類・魚介・オリーブオイル・野菜・果実類などの食材が中心)を生活習慣に取り入れると脳の健康にいいと言われています。
Table of Contents
脳に一番の栄養とは
友達や家族と楽しく話をしながら食事することが一番の栄養になります。「嬉しい」「楽しい」「ワクワクする」といったプラスの感情は、脳の中の「扁桃体(へんとうたい)」から「ドーパミン=(幸せホルモン)」という神経伝達物質の分泌が活発になり、脳全体を刺激し脳を若々しく保ちます。
また、脳の左右に1つずつある「海馬」=認知症予防のカギを握る短期記憶の司令塔は、「楽しいこと」「におい」「味」「見た目」などから刺激を受けその働きを高めます。脳の健康には彩り豊かな食材でお料理を作り楽しく食べることが大切です。
認知症予防になる食べ物
栄養バランスの良い食事、塩分・間食や糖質を控えることは、生活習慣病予防になり、認知症予防にもなります。
生活習慣病の1つである糖尿病の方にアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症の発症率の上昇が見られ、また高血圧の方は動脈硬化により脳血管性認知症の発症を高めてしまう可能性があります。
食べ物では、玄米・全粒粉・ライ麦、青魚・鶏肉、オリーブオイル、野菜(緑色葉物野菜)、ベリー類やナッツ類などを満遍なく食べることが、脳にとって大事です。
飲み物では、珈琲・緑茶・赤ワインなどが認知症に良いと言われますが、珈琲や緑茶を飲み過ぎるとカフェイン過多で、睡眠の質を低下させる可能性があります。
何事も極端にならず、適度にバランスよく摂りましょう。
食事と脳の関係
脳の働きを良くするために、炭水化物(ブドウ糖)・タンパク質・脂質をバランスよく摂りましょう。ダイエットのため炭水化物を制限すると脳の働きが悪くなってしまいます。
また、咀嚼(噛むこと)は、味覚・視覚・臭覚・聴覚・体性感覚(硬さ・冷たさ・舌触りなどを受け入れる感覚受容器)の五感情報を同時に脳に取り込むことができる唯一の方法です。五感からの様々の情報が大脳に伝わり、更に海馬(短期記憶を司る器官)に保存されるため、記憶力がアップします。
積極的に食べたい食べ物
全粒穀物・魚・鶏肉・緑黄色野菜・豆類・果実類・珈琲・赤ワイン・オリーブオイルなどを積極的に食べましょう。
青魚のさんま・あじ・いわし・さばなどは、オメガ3脂肪酸のDHAやEPAが多く含まれています。
DHAは脳の構成成分であり、記憶力や判断力の向上、認知症予防に有効であると言われています。EPAは、血行を促進し生活習慣病を予防できるため、間接的に認知症予防に役立ちます。
緑黄色野菜は、ほうれん草・小松菜・菜の花、豆類は、納豆・枝豆・空豆、果実類は、いちご・キウイ・オレンジに葉酸が多く含まれています。葉酸は、ビタミンB群の一種であり、不足すると肝臓で作られる悪玉アミノ酸であるホモシステインという物質が増えます。
ホモシステインは、動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞などのリスクを増やす要因として知られている物質です。葉酸を摂取する事で、ホモシテインを減らし認知症予防や脳血管疾患予防を期待できます。
できれば控えたい食べ物
赤身肉・肉製品は週3回程度で、特にファーストフードや市販のお惣菜・菓子類・菓子パンなどは、動物性の油(魚は除く)で飽和脂肪酸やショートニング・マーガリンなどのトランス脂肪酸が多く含まれているため、1か月に数回にすることをお勧めします。
飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の過剰摂取は、血中のLDLコレステロールを増やし動脈硬化を引き起こし、脳梗塞も発症しやすくなります。また、トランス脂肪酸は、欧米で摂取を禁止または制限している国もありますので、身体には良くない食材と言えます。
脳を働かせる食べ物の豆知識
脳の構成成分は、脂質約約70%(内訳は、コレステロール約50%、リン脂質約25%、DHA(オメガ3系)約25%)、タンパク質約30%のため、良質なタンパク質とリン脂質・DHAを多く含む食材を意識して摂るようにしましょう。
リン脂質は、記憶力を高める神経伝達物質のアセチルコリンの材料となり、DHAは思考力を高める効果があります。
タンパク質は、アミノ酸に分解され、脳内で判断力や記憶に関わる神経伝達物質の材料になるため、特に「アミノ酸スコア」を参考に、体内で合成できない必須アミノ酸を多く含む食材を摂るようにしましょう。
脳にいい食べ物のレシピ
脳のエネルギーとなる糖質、脳細胞を作るタンパク質、記憶力や集中力をアップする脂質をバランスよく摂取し、食物繊維で腸の働きを整え、栄養の吸収率をアップ考えてメニューを作りましょう。
①キノコの豆腐クリームパスタ
【材料】
パスタ:400g⇒糖質:脳のエネルギー源
キノコ:適量⇒ビタミンB1:糖質のエネルギー代謝に寄与する。食物繊維:腸の働きを整え栄養の吸収がよくなる。
絹ごし豆腐:200g⇒レシチン:学習能力を高める
牛乳:大さじ4⇒カルシウム:脳神経の興奮を抑える作用が期待できる
粉チーズ:大さじ4⇒カルシウム
バター:60g
塩、コショウ:適量
【作り方】
1)パスタを茹でる
2)フライパンでバターを溶かして、牛乳を加え、キノコを小房に分けて入れる
3)火を止めて豆腐を崩しながら加え、泡立て器でよく混ぜてクリーム状にした後、粉チーズを加える
4)(3)にパスタのゆで汁を加えて、程よい硬さにする
5)ゆで上がったパスタを皿に盛り付け、(4)を上からかけて完成
②マグロのカルパッチョ
【材料】
マグロの刺身:1サク⇒タンパク質、DHAやEPAも豊富
ベビーリーフ:40g⇒ビタミンEやβ-カロテン
プチトマト:5個
オリーブオイル:大さじ1
しょうゆ:大さじ1
レモン汁:小さじ1⇒ビタミンC
粗塩&黒胡椒:少々
【作り方】
1)オリーブオイル、しょうゆ、レモン汁を合わせよく混ぜる
2)マグロを薄めに切る
3)プチトマトは4等分に切る
4)マグロとベビーリーフをお皿に盛り付け、(1)と粗塩と黒胡椒を散らして完成
③全粒粉ココアクッキー
【材料】
全粒粉:100g⇒亜鉛は脳の刺激伝達物質を合成。食物繊維も豊富
ココア:8g⇒食物繊維が豊富。テオブロミンは集中力や記憶力アップ効果あり
上白糖:40g
バター:50g
卵:1個
【作り方】
1)卵、バターは室温に戻しておく
2)全粒粉、ココアを混ぜてふるう
3)バターをクリーム状になるまで混ぜてから、上白糖を加えて、白っぽくなったら卵を加えて全体を混ぜ合わせる
4)(2)の粉類を(3)に加えて、ひとまとまりになるまで混ぜ、転がして棒状にする
5)(4)の生地を冷蔵庫で約30分ほど寝かす
6)冷蔵庫から取り出した0.8mm程度のカットして、180℃に温めたオーブンで12分程焼く
受験生も必見!記憶力に良い食べ物
リン脂質は、記憶力を高める神経伝達物質のアセチルコリンの材料となります。またリン脂質の一種のレシチンは、細胞膜の主成分であり、脳神経や神経組織を構成し、記憶力や集中力向上に効果を発揮します。豊富な食材は、鶏卵、大豆・大豆製品、ピーナツなどです。
DHAは、思考力を高める効果があり、特に青魚のあじ・いわし・さばやアンコウの肝やうなぎなどにに多く含まれています。
記憶力を高めるタンパク質でも、「良質なタンパク質」というのは、必須アミノ酸(体内で合成できないアミノ酸)がバランスよく含まれているタンパク質のことをいいます。例えば、豚肉(ロース)・あじ(生)・鶏卵・牛乳・大豆および大豆製品です。
脳に良いお菓子
ナッツ類のアーモンド・くるみ・カシューナッツなどは、必須脂肪酸が多く含まれ、総脂肪分の半分近くは健康効果の高い不飽和脂肪酸です。
また植物性タンパク質・食物繊維・ミネラル・葉酸などが豊富に含まれているため、 栄養価の高い手軽な間食として多種類少量を食べましょう。
チョコレート(カカオ含有量70%以上)は、カカオに含まれるフラボノイドが血圧を下げ、血流をよくし抗炎症効果をもたらします。
またカカオは、食物繊維・カルシウム・マグネシウムなどの必須ミネラル類も豊富に含む、栄養バランスのとれた原材料です。
全粒粉は小麦よりも栄養価が高く、ビタミン・ミネラル・ポリフェノールなどの含有量が多いです。
特に脂質や糖質の代謝を助けるビタミンB1、便通の改善などの効果が期待できる食物繊維、貧血の予防に効果的な鉄分は、小麦粉の約3倍の含有量です。
脳に良い飲み物
緑茶・紅茶は、抗炎症・抗酸化成分であるカテキンが大量に含まれているため、脳の健康・保護にきわめて効果が高い飲み物です。
また、緑茶・紅茶に含まれる特殊なファイトケミカルであるエピガロカテキンガレート(EGCG)は、血糖値の急変動を抑制するため、血糖値を安定させることができ、血糖値が安定すると脳内の炎症が減ることに繋がります。
米麹甘酒は、「飲む点滴」とも言われ、発酵食品でありビタミンやアミノ酸も豊富です。米麹は、米のデンプンを麹菌によって糖分に変えているため、体内への吸収がよいエネルギー源として疲労回復にとても効果的です。
また麹菌に含まれる酵素は抗酸化作用があるため、老化の原因となる活性酸素を抑制する働きがあります。
林さとみのワンポイントアドバイス
何が脳に良い食べ物か迷った時は、昔から日本人が伝統的に食べている食事を思い出してください。
全粒穀物・味噌汁(発酵食品)・肉か魚の主菜(1品)・野菜を中心とした副菜(2品)の一汁三菜は、脳のエネルギー源の糖質、細胞を作るタンパク質、記憶力をアップする脂質がバランスよく含まれています。
また、しっかりと噛んでリラックスして食べることは脳を活性化することに繋がります。
まとめ
炭水化物(糖質)・タンパク質・脂肪、ビタミン・ミネラルの五大栄養素をバランスよく摂ることで、必須アミノ酸・必須脂肪酸も自然と摂取できます。
また、個食(孤食)になりがちですが、家族や友達と話をしたながら楽しく食べることで栄養が身体に吸収されやすくなります。
できるだけ加工食品は避け、食材から調理して安全で安心な食事を心がけましょう。
健康運動実践指導者・健康管理士一般指導員の勉強を通じて、健康について運動・食べ物・メンタルなど多くの知識を身に付けています。
知識を知恵に換え実践することで、今でも体力年齢は20歳代をキープし、「華麗に加齢」を目指しています。 2019年3月から、一般社団法人日本ランニングファシリテータ協会認定コーチとして、イオンモールで朝活ランニングの指導をするなど、走る楽しさを伝えています。