この記事を読むのに必要な時間は約 5 分です。
お酒は”百薬の長”と言われているので、適量なら健康に良いと思っていませんか?今回は、適量ってどのくらい?適量ってあるの?などの情報をお伝えします。これからのお酒(アルコール)との付き合い方の参考にしてくださいね。
Table of Contents
健康を害するアルコールの真実


アルコールの飲み過ぎは、がん・肝硬変・脳卒中・心筋梗塞・2型糖尿病など少なくとも約200の病気の発症リスクを高めたり、病状を進行させる可能性があると言われています。
特にがんに関しては、飲酒量がゼロの場合が一番リスクが低いと言われています。少量の飲酒が健康に良いかどうかは、心筋梗塞や2型糖尿病などへの影響と、がんへの影響の相殺となるため、アルコールは少量でも飲まない方が身体の健康には良いと言えます。
一般的ビール・焼酎その他の適量基準
厚生労働省が推進している国民健康づくり運動「健康日本21(第二次)」によると、「節度ある適度な飲酒量」は、1日当たり純アルコール量で約20g程度とされています。
<純アルコール量20gの目安>
- ビール(5%)500ml
- 焼酎(25%)ロック100ml
- ウィスキー(43%)
- ダブル1杯(60ml)
- ワイン(14%)グラス2杯(180ml)
- 日本酒(15%)1合(180ml)
<純アルコール量の求め方>
飲酒量(ml) x アルコール度数(%)/100 x アルコール比重0.8 = 純アルコール量(g)
(例)ビール中瓶1本(アルコール度数5%の場合):500ml x 5%/100 x 0.8 = 20g
女性は男性よりも肝臓が小さいためアルコールの分解に時間がかかり、また体内の水分量が男性よりも少ないため、血液中のアルコール濃度が上がりやすいと言われています。女性は男性の1/2~2/3を適量とするのが世界的な水準です。
適量は健康に良いという嘘
「少量飲酒が健康に良い」と言われてきたのは、アルコールが動脈硬化の進行を防ぎ、脳梗塞や心筋梗塞などの循環器疾患の発症リスクを下げるとする研究結果があったからです。
動脈硬化・脳梗塞・心筋梗塞・2型糖尿病などは、お酒を飲まない人と比べて、少しだけ飲む人の方が発症リスクが低く、飲酒量が増えればリスクが高くなる「Jカーブ効果」が認められます。
このように、特定の病気の予防効果はありますが、飲酒によって別の病気が発症しやすくなる可能性を高めます。特に少量の飲酒でも乳がんや口腔がんなどに罹りやすくなります。
少し飲み過ぎでも健康リスクはある
節度ある飲酒量の2倍(アルコール度数5%のビールを1,000ml)を毎日飲む場合、まったく飲まない人に比べアルコールが原因の障害が起こるリスクは7%上昇します。
心筋梗塞に限って言えば、1日における飲酒量が、男性で純アルコール量19g、女性で9gでそれぞれリスクが最小になり、それ以上の飲酒は徐々にリスクが高くなっていきます。
また、赤ワインに含まれるポリフェノールには、動脈硬化を改善する働きが期待できるため、グラス1杯程度は糖尿病予防効果が高いという研究結果がありますが、人によって影響が異なるため「飲んだ方が良い」という訳ではありません。
全く飲まないほうが健康である
2018年8月に医学雑誌『ランセット』に発表された論文は、最終的に健康への悪影響を最小化する飲酒量は「ゼロ」。つまり、全く飲まないことが健康に最も良いとしました。
高血圧や脂質異常症・脳出血・乳がんなど、飲酒に関連する多くの健康問題を発症するリスクは、少量であっても高まることが分かっています。
最近はがんも生活習慣病と言われており、生活習慣病を防ぐためには、飲酒量は少なければ少ないほど良いことになります。また、近年患者が増えているうつ病や認知症にもかかりやすくなると言われています。
特にがんに関しては、飲まない方がリスクが低いですが、人生で今までに飲んだお酒の総摂取量によって身体への影響が変わってくると考えられています。
アルコール摂取による健康被害


継続的なアルコール摂取による健康被害は、身体的・精神面・社会性などに及びます。身体的には肝臓や膵臓・消化管など全身の臓器に障害が現れます。精神面では、イライラや不眠を解消するための飲酒が徐々に量が増えアルコール依存症に繋がる可能性があります。
また、社会性としては、大量飲酒を繰り返すことで、家庭内暴力・虐待・事故などを起こす危険が高くなります。
身体的な健康リスク
アルコールを長期にわたり大量摂取すると、色々な臓器に病気が発生します。中でも肝臓病になる頻度が高く、中性脂肪がたまる脂肪肝からアルコール性肝炎、更に飲み続けると肝硬変、やがて肝がんという最終段階に入り死に至る可能性があります。
その他には、糖尿病やすい炎などのすい臓の障害・消化管・循環器系・脳・末梢神経障害など、全身の臓器におよび障害が現れます。さらに、アルコール依存症をきたすこともあります。
また、妊娠中や授乳中にアルコールを摂取すると、その代謝物質であるアセトアルデヒドは赤ちゃんの身体の細胞の増殖や発達に障害を与え、胎児性アルコール依存症(発育遅延、中枢神経系の障害)を引き起こす危険性があります。
精神的な健康リスク
イライラやストレス発散のために飲酒することがありますが、不快な気持ちを忘れるための飲酒は、量や頻度が少しずつ増加し、やがてはお酒を手放せなくなってしまうアルコール依存症になる可能性が高まります。
アルコールには、脳を麻痺させる作用があるため、不安を和らげる効果がありますが、酔いから覚めるとその反動として以前よりもさらに抑うつ感が強くなり不安が募ってしまい、うつや不安障害を引き起こしたり、抑うつ気分を悪化させることがあります。
また、アルコールを飲むとすぐに眠くなるため、睡眠剤代わりにお酒を飲む人がいますが、アルコールが分解されアセトアルデヒドになった段階で覚醒作用があるため、入眠後3時間前後で目が覚め眠れなくなることがあります。そのため、更にアルコールを飲み、酒量が増えていくという悪循環に繋がります。
アルコール依存症とは
お酒を飲む人なら誰でも発病する可能性がある”精神と身体の病気”です。長期間に大量飲酒を続けることで、飲まずにはいられない状況になり、時間と場所を選ばずお酒が欲しくなり、飲めなければ暴力的行動に出るなど、自分でコントロールできなくなってしまいます。
飲まないことでイライラし不眠になる精神的依存や、手指の震えなど精神的依存があります。
重症になると、飲酒後48時間程度経過し身体からアルコールが抜けてしまうと、汗をかいたり、手足が震えたり、幻覚をみたりなど禁断症状が現れます。
WHO(世界保健機構)においては、アルコール依存症を薬物依存のひとつとして捉えており、飲みたいときに楽しく飲酒するのではなく、否応なしに周期的・持続的に飲まなければならない渇望状態であるとしています。
社会的な健康リスク
飲酒に関連した社会的な問題は、アルハラ(飲酒による暴言・暴力やセクハラなどの迷惑行為)・家庭内暴力・児童や高齢者への虐待・犯罪など多く発生しています。
これらを防止するには、それらの原因となっている飲酒を控えることが大切です。また、飲酒・酩酊時には身体運動機能や理解力・判断力が低下してしまい、理性の働きも抑えられているため、交通事故・転倒・溺水などの様々な事故に繋がるリスクが高まります。
近年、飲酒運転による死傷事件が後を絶たず、2001年に危険運転致死傷罪が制定されました。また道路交通法が改正され、2002年6月からは酒気帯び運転の基準引き下げと行政処分の強化が図られ、さらに2007年9月から飲酒運転等の罰則が強化されました。
飲酒と健康に関する豆知識


現時点の調査では、少量の飲酒でも特定の病気を除いて身体に良くない可能性が高くなってきました。しかし、お酒にはリラックスして楽しめるという側面があります。
健康を損ねにくい自分自身の適量を知り、飲酒量をコントロールしていくことが大切です。2018年4月に医学雑誌『ランセット』に掲載されたケンブリッジ大学などの研究では、死亡リスクを高めない飲酒量は、1週間の純アルコール量が100g(アルコール度数5%のビール500m x 5本)と報告されています。
毎日お酒を飲むとどうなる
厚生労働省では「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」を1日当たり純アルコール量が、男性で40g、女性で20g以上としています。
個人差はありますが、その量を肝臓で分解するには、平均6-7時間前後かかると言われています。お酒を飲んだ後寝ている間も肝臓は黙々と働いています。
毎日お酒を飲むことは、「沈黙の臓器」と言われる肝臓に負担をかけ、また胃や腸などの消化管の粘膜を荒れさせるため、2-3日飲んだら1日休ませてあげましょう。
肝臓は、アルコールや薬剤など身体に有害な物質を毒性の低い物質に変え排出する働き、栄養素を身体が利用しやすいように分解・合成する働きなど多彩な働きをする「化学工場」です。休ませないことで様々な障害が起こる可能性があります。
高校生などの未成年の飲酒はキケン
未成年の飲酒は、身体的・精神面・社会性に悪影響を及ぼします。身体的には、①脳が未完成のため、飲酒することで脳が萎縮し脳細胞を壊してしまい、学校生活への不適応、学業不振に繋がります。
②アルコールが2次性徴を遅らせ性腺が萎縮する可能性があります。③アルコール分解酵素の働きが未発達のため、飲み方や適量もわからず無理に飲むと、急性アルコール中毒を起こす危険性が大人に比べて高くなります。
精神面では、心身が未発達のため自己規制がきかずアルコール依存症になる可能性が大人より高くなります。
社会性では、不慮の事故に巻き込まれる可能性が高くなると言われています。また、理性的な行動ができなくなり、性犯罪や危険な行動を起こしやすくなります。
そもそもお酒の定義とは
ビール・日本酒・焼酎などお酒には沢山の種類がありますが、共通する成分はアルコールです。アルコールを1%以上含む飲料を「お酒」と定義されています。
お酒のアルコールは、「エチルアルコール」で、国際化学命名法の呼び名は「エタノール」です。
参考までに、お酒に含まれるアルコールは、酵母菌が糖分を分解することによって生じ、お酒は「醸造・発酵食品」になります。
「醸造酒(ビール・ワイン・日本酒)」「蒸留酒(ウィスキー・ブランデー・焼酎)」「混合酒(リキュール)」の3種類のアルコールがお酒のほとんどを占めています。
アルコールの代謝
アルコールは胃から約20%、小腸から約80%が吸収され、その後血液に入り、全身を巡ります。
摂取したアルコールの約90%は、肝臓でアルコールを分解する酵素によってアセトアルデヒドになり、さらに酢酸に分解され、最終的には水と二酸化炭素となって体外に排出されます。残りの2-10%は、そのままの形で呼気・汗・尿として排出されます。
日本人の4割近くの人がアセトアルデヒドを分解する酵素の働きが低いため、欧米人に比べてお酒に弱く、代謝に時間がかかる人が多いです。
また、アルコールが血中からなくなる時間は、アルコールの処理能力や体重によって異なります。通常、体重60~70kgの人で純アルコール約5gを分解するのに1時間程度かかるため、お酒に換算すると、中瓶1本、日本酒1合、ウイスキーダブル1杯を分解するには約4時間かかることになります。
健康カウンセラー林さとみのワンポイントアドバイス

お酒を飲まないことで、がんになるリスクを軽減できそうですが、がんにならないことが人生の全てはないでしょう。
心身がリラックスし円滑なコミュニケーションに繋がるなど、お酒を飲むことで良いこともありますね。
飲酒が健康に及ぼす影響を考慮して、人生を豊かにする飲み方で時には楽しい晩酌も良いかもしれません。
まとめ
アルコールは、総合すると飲むよりは飲まない方が健康に良いことが解りましたね。また人生で今までに飲んできた総量で身体に影響を及ぼします。
長く飲酒を楽しみたいのであれば、飲むことのリスクを理解した上で、特に肝臓を労わり、飲酒量をコントロールして飲みましょう。

健康運動実践指導者・健康管理士一般指導員の勉強を通じて、健康について運動・食べ物・メンタルなど多くの知識を身に付けています。
知識を知恵に換え実践することで、今でも体力年齢は20歳代をキープし、「華麗に加齢」を目指しています。 2019年3月から、一般社団法人日本ランニングファシリテータ協会認定コーチとして、イオンモールで朝活ランニングの指導をするなど、走る楽しさを伝えています。