健康のための栄養!栄養素の働きや種類と避難所での注意点

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健康を維持するために、ヒトは全て外から栄養素を摂取して身体を作っていきます。それぞれの栄養素がどのような働きをしているか覚えているようで不確かですよね。五大栄養素を中心い解りやすくお伝えしますので、健康を維持するために活かしてくださいね。

健康カウンセラーの林さとみと申します。私が皆様のお悩みを解決します!
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ
相談者のAさん
相談者のAさん
いろいろ教えてください。

栄養素の働き

栄養素の働き

相談者のAさん
相談者のAさん
栄養素の働きに詳しくなりたいです。
分かりました。カンタンに解説しますね。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

ヒトは、体外から摂取した栄養素を原料にして、消化・吸収し、身体が活動するために必要なエネルギーを生み出すことで生命を維持しています。

エネルギー源になる「たんぱく質(糖質)」「たんぱく質」「脂質」は、三大栄養素と言われ、それに「ビタミン」と微量元素である「ミネラル」を加えて五大栄養素と言われています。

栄養素は、「エネルギー源」「からだの構成成分」「からだの機能調節」の3つの大きな役割をもっています。また、脂質は、悪者のように言われますが、細胞膜の構成成分となり無くてはならない栄養素です。

栄養素の3つの働き

1)三大栄養素は、「エネルギー源」になり、糖質、次に脂肪、たんぱく質の順で使われていきます。糖質は体内に少量(400g程度)しか蓄積することができないため、糖質が不足すると身体の構成成分であるたんぱく質が使われるため、基礎代謝が減少してしまいます。

2)たんぱく質は、アミノ酸となり体の組織(筋肉、臓器、血液、骨など)をつくる「からだの構成成分」として利用されます。

3)ビタミンやミネラルは、体の調子を整える=「からだの機能調整」の働きがあります。ミネラルはビタミンと相互関係を持ちながら酵素と結びつき、食物の消化・吸収、老廃物の排泄などの活性化を助ける働きがあります。

栄養の原則

栄養の原則は、エネルギー消費に見合った分をエネルギー摂取することで、各栄養素をバランスよく摂取することが重要です。バランスよく摂取するためには、1日3食適当な量(可能なら朝:昼:晩=2:2:1の割合)を、たくさんの種類の食物を組み合わせて食べることが望ましいです。

世界中の食べ物を探しても「これ一つだけ食べれば健康になる」とうような好都合な食べ物はありません。

「1/3カロリー」「食物繊維たっぷり」「糖質〇〇%オフ」など目を引くキャッチコピーを見る機会が多いですが、宣伝効果を狙ったものも多いので、栄養成分表示など確認することが大切です。

三大栄養素のエネルギー摂取比率は、糖質50-65%、たんぱく質13-20%、脂質20-30%が良いと言われています。バランスを考え1日3食を主食・主菜・副菜を上手に組み合わせて摂取していきましょう。

栄養上の注意点

2017年(平成29年)の国民健康・栄養調査の結果によると、肥満者(BMI25以上)の割合は、男性で30.7%、女性で21.9%となっています。

10年前と比較すると肉類の割合が増加し、穀類、野菜、魚介類の摂取量が減少する傾向にあります。特に脂質の種類・塩分に気をつけて彩の良い食事を心がけましょう。

食生活が欧米化していく中で、下記に注意した食生活にしていくことが大切です。

  1. 脂肪、特に動物性の脂肪より植物油を多めにし、摂り過ぎないようにする。
  2. 調理方法など工夫して、塩分の摂り過ぎに注意し、1日摂取量を10g未満にする。
  3. 1日最低1食は主食・主菜・副菜をそろえ、各栄養素をバランス良く摂る。
  4. 1日1食は、2人以上とゆっくり30分以上時間をかけて食事する。
  5. 食べ過ぎに気を付け、適度な運動を行い、消費エネルギーを増やす。

栄養素の種類を知ろう

栄養素の種類を知ろう

相談者のAさん
相談者のAさん
栄養素の種類はどんなものがありますか?
お聞きになったことがある栄養素も多いと思いますよ。順番に紹介します。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

三大栄養素は、炭水化物(糖質・食物繊維)、たんぱく質、脂質です。炭水化物は主に主食(ご飯・パン・麺類)に、たんぱく質は肉類・魚介類・大豆などの豆類に多く含まれています。また、脂質は常温で液体のごま油・大豆油・オリーブ油や常温で固体のバター・ラードなどです。

また、微量栄養素のビタミンとミネラルを加えて五大栄養素と言われます。ビタミンは大きく分けて13種類あり野菜や果物に多く含まれ、ミネラルは16種類の必須ミネラルが乳製品・海藻類・ナッツ類を中心に様々な食品に含まれています。

糖質

炭水化物は、体内で吸収されエネルギーになる「糖質」と、消化吸収されずエネルギーにならない「食物繊維」に分かれます。

「糖質」は血液中では単糖類の「ブドウ糖」の形で存在しています。ブドウ糖は、最もエネルギー源として使われやすく、特に脳にとっては唯一のエネルギー源です。糖質1gあたり4kcalのエネルギーを産生し、消費者庁によると1日あたり炭水化物の目標摂取量は320gとなっています。

糖質が不足すると脳や神経に必要な栄養が届かないため、集中力の低下、判断力の鈍り、注意力散漫など脳の働きを妨げてしまう可能性があります。

また、不足したエネルギーを補うために、脂肪だけでなく、筋肉の成分であるタンパク質を分解してエネルギー源とするため、太りやすくなります。

逆に、糖質を摂り過ぎると余分なブドウ糖は脂肪に変換され、中性脂肪として蓄えられてしまいます。

たんぱく質

たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されており、そのうち9種類は必須アミノ酸と言われ、体内で合成できないため食物から摂取する必要があります。

たんぱく質は、筋肉や臓器、髪や皮膚など身体を構成する非常に重要な栄養素であり、また、酵素やホルモン、免疫細胞を作る役割など様々な機能を担っています。

たんぱく質1gあたり4kcalのエネルギーを産生し、1日あたりの推奨量は、成人男性で60g、成人女性で50gとなっています。

食品に含まれるたんぱく質の栄養価を評価する値に「アミノ酸スコア」があります。アミノ酸スコアとは、食品中の必須アミノ酸の配合バランスを点数化したものです。

この点数が100に近いほど「良質なたんぱく質」と言えます。鶏卵、鶏肉、豚肉、牛肉、馬肉、鯵、鮭、牛乳などはスコア100でアミノ酸のバランスが良い食品です。

スコア100ばかりの食品を摂っていると栄養バランスが良くないため、アミノ酸スコアの低い食品を食べる場合は、不足しているアミノ酸を一緒に摂るようにして、栄養バランスよく食べることが大切です。

例えば、穀類(お米や小麦など)は必須アミノ酸のリジンが不足しているため、リジンが豊富な鶏肉などの動物性食品などと一緒にとることで、アミノ酸バランスが改善されます。

脂質

脂質は重要なエネルギー源として使われます。また、ホルモンや細胞膜・核膜を構成、皮下脂肪として臓器を保護、脂溶性ビタミン(ビタミンA/D/E/K)の吸収を促進など、大切な役割を担っています。

その他、体温を保ったり、肌に潤いを与えるなどの働きがあるため、脂肪を減らし過ぎることで、特に女性は美容や健康を損なう可能性があります。美しい肌や髪の為にも適度の脂質を摂るようにしましょう。

脂質は1gあたり9kcalのエネルギーを産生し、1日あたりの目標量は、男女とも総エネルギー量の20-30%未満となっています。

脂肪は、大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。飽和脂肪酸は、動物性脂肪に多く、血液中の中性脂肪やコレステロールを増やすため、摂り過ぎには気をつけましょう。

一方、不飽和脂肪酸は、植物油や魚油に多く含まれ、血液中の中性脂肪やコレステロールを低下させる働きがあります。しかし、脂質は摂り過ぎると脂肪として蓄えられ、肥満などの原因となりので注意が必要です。

ビタミン

ビタミンは、3大栄養素のようにエネルギーや身体の構成成分にはなりませんが、身体の機能を正常に維持するために不可欠な栄養素で、血管や粘膜、皮膚、骨などの健康を保ち、新陳代謝を促す働きをしています。

必要量はごくわずかですが、体内でほとんど合成されないか、合成されても必要量に満たないため必ず食物から摂取しなければなりません。

ビタミンは、水に溶ける「水溶性ビタミン」と、油に溶ける「脂溶性ビタミン」に分類されます。

水溶性ビタミンは、過剰な分は尿に溶けて排泄されるため、必要な量を毎日こまめに摂る必要があります。体内に蓄積されずに尿と一緒に排泄されてしまうので、基本的に過剰症はありません。

脂溶性ビタミン(ビタミン A/D/E/K)は、熱に強く油と一緒に摂取すると吸収が良くなります。また、肝臓に蓄積されるため、摂り過ぎると過剰症を起こし身体に害を及ぼすことがあります。

通常の食生活では摂り過ぎる心配はありませんが、サプリメントなどで大量に摂り過ぎることがある為、注意が必要です。

ミネラル

ビタミンと同じくエネルギーになりませんが、体内であらゆる反応の触媒として働き、酵素の安定化という重要な役割をするため、微量ながらも健康維持に欠かせない栄養素です。

地球上には100種類以上のミネラル(微量元素)があると言われていますが、健康増進法に基づく食事摂取基準の対象として、5種類の主要ミネラル(ナトリウムカリウム/カルシウム/マグネシウム/リン)と8種類の微量ミネラル(鉄/亜鉛/銅/マンガン/ヨウ素/セレン/クロム/モリブデン)が定められています。それを含む必須ミネラルなど30種類で体重の約4%を閉めています。

ミネラルの主な働きは2つあり、骨・歯など身体の組織の構成成分と身体の調子を整えることです。ミネラルは、体内で合成することができないため、食物からバランスよく摂取しなければなりません。

ミネラルは、体内でいつも一定の濃度に保たれていますが、食事から摂取するミネラルの不足や過剰が長く続くと適切な濃度を保てなくなり、欠乏症や過剰症が現れます。

例えば、鉄分不足により鉄欠乏性貧血、亜鉛が不足すると味覚異常を招くなどの欠乏症を起こします。

鉄や亜鉛をとり過ぎると中毒を起こしたり、ナトリウムをとり過ぎると高血圧症に繋がるなどの過剰症の症状が発生します。

国民健康栄養調査とは

国民健康栄養調査とは

相談者のAさん
相談者のAさん
国民栄養調査っていうのがあるのですね?
厚生労働省が実施しています。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

国民健康栄養調査とは、国民の身体の健康状態、栄養素摂取量や生活習慣の状況を把握することを目的として、厚生労働省が毎年実施しています。2002年までの名称は国民栄養調査でしたが、2003年に名称が変更されました。

毎年11月、国民生活基礎調査により設定された対象調査地区を管轄する保健所が行い、身体状況調査、栄養摂取状況調査、生活習慣調査(喫煙状況含む)の3種類が実施され、国における健康増進対策や生活習慣病対策に不可欠な調査となっています。

国民健康栄養調査平成30年の概要

毎年実施している基本項目に加え、所得等社会経済状況(世帯所得が600万円以上の世帯員と200万円未満の世帯員と比較)と生活習慣等に関する状況を重点項目とし、その状況を把握しました。

主食・主菜・副菜を組み合わせた栄養バランスの摂れた食事をしている割合は4割を超えましたが、そのような食事を1日2回以上食べることが「ほとんど毎日」と回答した人の割合は、世帯所得が600万円以上の世帯員に比較して、男女とも200万円未満の世帯員で有意に低かったです。

生活習慣などに関する状況は、「習慣的に喫煙している者の割合」、「健診未受診者の割合」、「歯の本数が20歯未満と回答した者の割合」は、世帯所得が600万円以上の世帯員に比較して、男女ともに200万円未満の世帯員で有意に高く、検診未受診者は、1週間の平均就労時間が1-39時間の人が40時間以上働く人より割合が高い結果でした。

喫煙状況については、「紙巻きたばこのみ」、「加熱式たばこのみ」、「紙巻きたばこ及び加熱式たばこ」の割合を初めて把握し、また、受動喫煙の状況については改善傾向にあることが解りました。

健康 栄養フォーラム

独立行政法人国立健康栄養研究所が開設しているサイトで、広く健康及び栄養に関連するトピックについて質問ができ、それに対して管理人や専門家が意見を述べる仕組みです。

食物繊維、ビタミン類、鉄やマンガンなどのミネラル、生活習慣病、糖質制限・ダイエット、サプリメント、メッツ(活動強度の指標)、健康食品やの安全性など幅広い題材を取り上げています。

多少専門過ぎる内容のこともありますが、身近でわかりやすいのものあります。現在はリニューアル中で過去の閲覧のみになっています。

災害による避難所での栄養

災害による避難所での栄養

相談者のAさん
相談者のAさん
震災や台風、河川氾濫などで避難所生活を強いられるケースがありますが、その時はどう栄養を取れば良いですか?
可能な限り食べて、身体にエネルギーを補充することが大切ですね。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

避難所では、物資が届かなかったり、不安で食欲がなく、十分に食べれない状況になると思いますが、可能な限り食べて、身体にエネルギーを補充することが大切です。

空腹時は、怒りがこみ上げてきやすく、ストレスに関係するコルチゾールやアドレナリンのホルモン分泌が活発になるため緊張感や不安感が強くなります。

また、水分不足により体調が悪くなったり、病気の誘因になることもあるため、極力摂るように注意が必要です。

できるだけ食べる

食欲がない場合は、フルーツジュースや温かい汁物、甘いものなどエネルギーになるものを少しでも食べましょう。

特に温かい汁物は、消化吸収が良く、腸を温め、体温が上昇るるため、脳・身体・心にエネルギーを注入することになります。

支援物資では、おにぎり・パン・麺類など炭水化物中心になるため、ビタミン・ミネラル・食物繊維などが不足しがちです。野菜ジュースや栄養補助食品なども積極的に摂るように心がけましょう。

食べることで脳が刺激され、イライラを抑えてくれるセロトニン(安心のホルモンとも呼ばれています)が分泌されます。セロトニンは、睡眠を促すメラトニンの原料となるため、質の良い睡眠も期待できます。

水分をとる

飲料水が無かったり、トイレ事情が悪く十分な水分を取れないことも多いですが、できるだけ水分をとるよう心がけましょう。

人間の体は、子どもで70%、成人では約60-65%、高齢者では約50-55%が水分で満たされています。

例えば体重50kgの場合25kgが水分となり、汗や呼吸で750-1,000ml、便で200-300ml、尿として1500mlが1日で排出されるため、2,200-2,600mlの水分を摂る必要があります。飲料水としては、体重の約4%が適量と言われています。

尿量が十分でないとカルシウム・カリウム・リンなどが増加してしまい、身体が疲れやすくなり食欲が減少したり、不整脈や骨異常の原因にもなります。

水分が不足することで、血液がドロドロになり、酸素不足・免疫力低下が起こり、風邪を引きやすくなります。

また、高血圧、心筋梗塞や脳梗塞、便秘、うつ病や不安感・恐怖感などの情緒不安定、脱水症状や熱中症(特に気温が高い場合)などの発症を高めます。

喉の渇きを感じた時は、既に脱水症状が始まっています。こまめに水分を補給することが重要です。

身体を動かす

避難所では、普段の生活パターンでなくなるため、行動範囲が狭くなり身体を動かす機会が減少してしまいます。

天気が良ければ太陽の光を浴びることやウォーキングなど一定のリズムで運動をすることで、セロトニンが増加します。

雨の日は、場所を取らない「その場足踏み」「その場ジャンプ」などで第2の心臓と言われるふくらはぎを鍛えることや、腕や上半身のストレッチで肩甲骨周りを動かすことで、血流が良くなり、新陳代謝が促されるため、身体の疲れを軽減できます。

寒いときは、手や足を使ったじゃんけんなど、手足の末端を動かすだけでも身体全体が温まり、気持ちが上向いていきます。

健康カウンセラー林さとみのワンポイントアドバイス

食事の色合いのバランスが良いと自然と栄養バランスが良くなります。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

栄養素を気にし過ぎると美味しく食事ができないかもしれません。食べ物は、色と栄養素に深い繋がりがあるので、食事の色合いのバランスが良いと自然と栄養バランスが良くなります。

基本の3色「赤・黄・緑」と+αの2色「黒・白」の5色を揃えることで、見た目も美味しく身体に良い食事が出来上がります。食材選びにも5色を意識するとお買い物が楽しくなるかもしれません。

まとめ

三大栄養素の炭水化物・たんぱく質・脂質とビタミン・ミネラルを加えた五大栄養素は、それぞれの重要な役割があり、どれか1つが不足しても身体の不調に繋がる可能性があります。

1日の中でバランスを取りながら、普段の食生活・水分の摂り方など少し意識することで、無理なくより良い栄養摂取を目指していきましょう。その習慣が避難所での過ごし方に役立つこと間違いなしです。