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お腹が空きすぎると、甘いものや脂っこいものを食べたくなったり、食べ過ぎてしまうこともありますね。常に食べ続けていると胃腸が休まるときがありません。
時には食べない(空腹)時間を長く作ることで、内臓を休ませ身体をリセットすることが大切です。なぜ空腹が健康に必要かポイントをお伝えしますので、年に数回試してみてくださいね。
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空腹は健康に必要?
成長段階の子どもや妊婦さん・病気の方など除くと、空腹は、内臓(特に消化器系)を休めることができるので、健康のために必要と言われています。
また、食べないことで、消化エネルギーを減らし代謝エネルギーを増やすため生命活動には重要な役割となります。
特に寝る前の空腹は、質の良い睡眠に繋がり、翌朝の体調にも大きく影響する可能性があるためとても大切です。
空腹が健康に悪いのは嘘
「空腹」は、健康を害するように思われますが、実は逆に健康上はとても重要な要素なのです。例えば「細胞の断食」という実験があります。
これはオートファージ(自食)と言われ、細胞に栄養を与えないでおくことで、細胞自体が古くなった酵素や必要でなくなったタンパク質を消化してしまう仕組みです。
つまり、細胞内の掃除・デトックス(解毒作業の回復・老廃物の除去)が行われるのですが、これは食後16時間経過した空腹時にしか実行されないため、空腹時間を作ることが大切になってきます。
また、寝る3時間前までに夕食を摂ることで、就寝時には胃が空になっているため、睡眠中に何度か収縮してすっかり掃除し、朝に便として排泄されます。
さらに、消化活動が終わっているため、深い睡眠ができ、翌朝は疲れが取れスッキリとした気分で目覚めることができます。
空腹時間は必要
食べものが胃に入り排泄までの時間は、約40時間かかると言われています。1日3食をしっかり食べると胃腸は休むことなく、常に消化活動をする必要があり、どんどん疲弊することになります。
食べ物が消化される時間は、胃の中で平均3~5時間(果物=20~40分、炭水化物(白米・パンなど)=2~4時間、タンパク質(肉・魚・豆類など)=4~6時間、脂質(乳製品・菓子類など)=6~7時間)、小腸で5~8時間(水と栄養分の8割を吸収)、大腸で15~20時間(小腸で吸収されなかった水分を吸収)という具合です。
また、夜遅い時間に夕食を摂り、胃に食べ物が残っている状態で寝てしまうと、寝ている間は消化活動が進まないため、朝は胃もたれした感じになります。空腹感がない状態で無理に食べることで、胃をはじめ内臓器官に負担をかけてしまいます。
胃腸が疲れてしまうことで、消化活動や腸内環境が悪化する可能性があります。胃腸を休ませるためにも空腹時間を作ることが重要です。
空腹が健康を作る
1日3食をしっかり食べると、内臓は休む間もなく働き続けることになるので疲弊し、消化機能が低下し、消化しきれなかった食物が腸内に残って腐敗し、腸内環境も悪化する可能性があります。
オートファジーとは、古くなった細胞を、内側から新しく生まれ変わらせるしくみのことです。細胞は主にタンパク質で作られていて、古くなったり壊れたりしたものの多くは外に排出されますが、排出しきれなかったものは細胞内に溜まり、細胞を衰えさせ、体の不調や病気の原因となります。
オートファジーは、そうした不要なタンパク質を集めて分解し、新たなたんぱく質を作る仕組みのことです。
最後に食べ物を口にしてから10時間経つと、肝臓に蓄えられた糖がなくなり、脂肪が分解されエネルギーとして使われ始めます。
そして16時間経過すると、いよいよオートファジーが機能し始めます。オートファジーは、身体や細胞がストレスを受けた際にも生き残れるように、体内に組み込まれたシステムで、飢餓状態になったときこそ働きが活発化します。
空腹時間と体への影響
古くなったり壊れたりして不要になったタンパク質の多くは体外に排出されますが、排出されなかったものは体調不良が病気の原因になります。
オートファージは、自食作業と呼ばれ、細胞内の不要になったタンパク質をアミノ酸に分解して、新たなタンパク質につくり変える仕組みのことです。
オートファージは、飢餓状態のアミノ酸供給だけでなく、細胞内の不要タンパク質を取り除く恒常的な役割を持つことが解ってきました。
空腹時間が少ない場合
お腹が空いていないのに、時間が来たからということで食事をしていると、内臓(特に消化器系)は休む間もなく働き続けることになるため、疲弊し消化機能が低下てしまいます。
消化しきれなかった食べ物が腸内に残って腐敗し、腸内環境が悪化することに繋がります。
さらに、エネルギーの摂り過ぎとなり内臓脂肪が増え、脂肪細胞から悪玉ホルモンが分泌され、体内に慢性炎症が起きたり、インスリンの効き目が低下したりと、身体にに悪影響を及ぼす可能性が高くなります。
インスリンの効き目が低下すると、血糖値の急な上昇やインスリンの過剰分泌を招き、太りやすい体質になる可能性があります。
血糖値の急な上昇は、血管を傷つけることや脳卒中や心筋梗塞のリスクが高くなります。
空腹時間が長い場合
内臓を休める時間があるため、内臓の消化・吸収・解毒・排泄機能が高まり、腸内環境も改善して免疫力も高まります。
空腹時間が長くなると、エネルギーとして糖質やがて脂質や体内に蓄えられていた余計な脂肪(内臓脂肪)が分解されエネルギーとして使われるため、血液中の糖質や脂質が減り血液や血管の状態が改善されます。
また、食べない時間が16時間以上になることで、オートファジーが活性化するため、細胞の生まれ変わりが促進され、体調不良や老化の改善が期待できます。
さらに、夜食を避け、朝食をとる習慣は、サーカディアンリズムが整い、1日をイキイキと過ごせることに繋がります。
空腹時に食べて良いもの
空腹に耐えられなくなった時は、おやつのカロリーとして100kcal程度として、食事の1時間前には食べないこと、可能なら14-16時の間に取るようにしましょう。
食べて良いものは、少量でも空腹感が和らぎ、身体に必要な栄養素で腹持ちが良いものを選びます。
手軽に食べられるものとして、ナッツ類、ココアやチョコレート、チーズなどが良いでしょう。
ナッツ類の中でもアーモンドは、食物繊維が豊富で便秘解消に役立ち、消化に時間がかかるため腹持ちが良いので最適です。また、ビタミンEの含有量がおおいので、アンチエイジングや美肌効果も期待できます。
ココアやチョコレートは、ミネラル・食物繊維・カカオポリフェノールが含まれており、抗酸化作用や血行を良くする効果があるため、代謝が上がり、身体の脂肪を燃やしやすくしてくれます。また、血糖値が一気に上がるため少量でも満腹感を得ることができます。
チーズは、タンパク質やカルシウムが豊富で、低GI食品食品でもあります。また、チーズを食べることで体内の脂肪を燃焼させる「アディポネクチン」が増加するため、血液中の中性脂肪とコレステロールの濃度を低下させる働きがあります。
ファスティングという健康法
ファスティングとは、英語で『断食』を意味します。しかし、一切飲食をしないというわけでなく、一定期間固形物を摂らず、水分はお茶や水などをしっかりと摂り、最低限のカロリーやビタミン・ミネラルなどの栄養補給として、果物や野菜をジュースにして飲むようにします。
365日働き続ける消化器官を休ませ、腎臓や肝臓などの内臓をメンテナンスすることで、身体の解毒能力を回復させ老廃物の排出を促進し、身体をリセットするデトックス効果のある健康法です。
ファスティングは酵素断食
食べ物は、消化・吸収・代謝されエネルギーとなりますが、酵素は代謝に関り、生命維持のために不可欠な存在です。
しかし、30代を過ぎる頃から体内で作られる酵素の量が徐々に減り、50代には約半分程度まで激減します。そのため、ファスティングには、不足している酵素を補う形で実践できる『酵素ドリンク』がお奨めです。
また、ファスティング用酵素ドリンクは、①多種類の酵素②豊富な栄養素③低カロリーなものを選ぶようにしましょう。
- 野菜や果物には多くの酵素が含まれていて、それぞれの働きが異なるため、様々な種類の野菜や果物が入っている酵素ドリンクを選ぶことで、バランスよく身体に酵素を取り込むことができます。
- 酵素が不足すると加齢とともに新陳代謝が低下するため、ビタミン・ミネラル・食物繊維など豊富に含まれるものを取りましょう。
- 炭水化物や脂質など余計な栄養素が入っていない低カロリーのものは、食事制限やダイエットの場合でも安心して飲むことができます。
ファスティングの方法
急に食べなくなると身体が飢餓感を感じて脂肪を溜め込むため、準備期⇒ファスティング期間⇒回復食期と進めていくことが大切です。
準備期
ファスティングに慣れるための大事な期間になります。徐々に食べ物を減らしていきます。ファスティングの3日前から夜は20時前までに食事を終えるようにし、アルコールや煙草は控えるようにしましょう。また、消化に良い和食や野菜を中心としたものを摂るようにます。
1日のプチ断食の場合は、間食をしないようにして、主食はお米にしてパンや麺類を避け、早く寝るようにします。
ファスティング中
本格的に実施したい方は1週間程度、お水かお茶(2ℓ程度)、スムージーのような飲み物だけにしてください。
1日のプチ断食でも、内臓を休める効果が期待できるので、初めての方はハードルを低くして1日から始めましょう。
回復食期
ファスティングの日数だけ回復食期が必要です。液体から柔らかく消化の良いお粥や味噌汁など、徐々に固形物を摂るようにするのがベストです。
この時に栄養バランスを考えてることがポイントになります。そこで参考になるのが、「まごわやさしい」の食べ物を摂ることです。
[ま]=豆、[ご]=ごま、[わ]=わかめ、[や]=野菜、[さ]=魚、[し]=しいたけ、[い]=いも。これらをバランスよく食べることで、休ませていた胃腸に優しい栄養を摂ることができ、リバウンドを防ぎ、ファスティングの成功に繋がっていきます。
また、固形物を食べ始めるときは、消化が良い食材を摂るように心がけ、肉類の場合は「鶏肉⇒豚肉⇒牛肉」の順にしましょう。
ファスティングの効果
ファスティングは、ダイエット目的に行っている人が多いかもしれませんが、1日3食で疲れ切った内臓を休ませることが一番大切な目的です。
内臓を休ませることで、様々な効果が期待できます。
- 肝臓や腎臓が毒素の排出機能を回復させることができ、体内環境が整えられます。
- 胃腸が休まり、便秘の解消ができます
- 体内の毒素や老廃物が排出されデトックス効果が得られ、腸内環境が整うことで肌が綺麗になります。
- これまで消化に使われていたエネルギーが代謝に使われるため、痩せやすい体質に繋がります。
- 普段より味覚が敏感になり、五感が研ぎ澄まされてきます。例えば、食品に含まれる添加物や嗜好品を摂ることで「味覚」が鈍っていますが、ファスティングすることで、それらを摂取せずに済むため、ご飯が甘く感じてきます。
健康カウンセラー林さとみのワンポイントアドバイス
身体に良いことでも、ストレスがかかり過ぎることは、長続きできません。良いことは適度に継続するからこそ効果が現れてきます。
空腹時間が16時間程度あると胃腸が休まりますが、生活リズムに合わなければ12-14時間など自分の生活に合った時間で調整しましょう。
また、食べすぎたと感じたら休日に1日ファスティングを実施するなど身体の声を聴きながら進めることが大切です。
まとめ
1年365日、毎日3食をしっかり食べてしまうと胃腸などの消化器系が休みなく働くことになってしまいます。
食べ過ぎた翌日の朝食はスムージーだけにするなど、内臓を休めるようにしましょう。また、お腹が空いたら水分をしっかりとり空腹感を和らげるなど工夫し、必要に応じてファスティングを取り入れていきましょう。
健康運動実践指導者・健康管理士一般指導員の勉強を通じて、健康について運動・食べ物・メンタルなど多くの知識を身に付けています。
知識を知恵に換え実践することで、今でも体力年齢は20歳代をキープし、「華麗に加齢」を目指しています。 2019年3月から、一般社団法人日本ランニングファシリテータ協会認定コーチとして、イオンモールで朝活ランニングの指導をするなど、走る楽しさを伝えています。