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「Eペースジョギング」って聞いたことがありますか?市民ランナーからトップ選手までが活用できる練習方法です。分かりやすくやり方や目的などご紹介していますので、「記録を伸ばしたい」「もう少し早く走りたい」と思っている人は、是非試してみてくださいね。
Table of Contents
Eペースジョギングとは?


「Eペース」とは、「イージーペース(easy pace)」のことで、Eペースジョギングは、「会話ができるくらいのペース」「楽に走れるペース」を指します。
オリンピック選手も育てたジャック・ダニエルズ氏が打ち立てたトレーニングペースの1つで、「Eペース(Easy)」「Mペース(Marathon)」「Tペース(Threshold)」「Iペース(Interval)」「Rペース(Repetition)」の5段階の強度があります。Eペースが一番トレーニング強度が低く、一番強度が強いRペースへと徐々にきつくなっていきます。
ダニエルズ理論のイージーペース
「ダニエルズ理論」は、オリンピック選手も育てたジャック・ダニエルズ氏が打ち立てたランニング理論で、最大酸素摂取量やLT(乳酸性作業閾値)、ランニングエコノミー(ランニングフォーム)などランニングのパフォーマンスを決定づける代表的な指標をもとに自分に合った練習メニューを作れるよう工夫されています。
「イージーペース」は、5種類のトレーニングペースで一番低いトレーニング強度で、長距離トレーニングの大部分はこの「Eペース」で行うのが良いとダニエルズ氏は述べています。
Eペースジョギングもトレーニングの一環です。最大心拍数の65-78%の負荷をかけるため、疲労が蓄積します。インターバル走やペース走などのポイント練習の質が下がらないようEペースジョギングをバランス良く取り入れることが大切です。
疲労を溜めないペースは、1,000mの自己記録の2倍程度のスピードと言われています。1,000mの自己記録が4分30秒の人は9分/kmのペースです。
Eペースジョギングの具体的ペース
Eペースジョギングは、「人と会話ができるペース」です。生理学的な基準値でEペースの強度を表すと「最大酸素摂取量の59~74%」「最大心拍数の65~78%」になります。50歳で安静時心拍数が70拍/分の場合、135~144拍/分が目標心拍数になります。
最大酸素摂取量(1分間に体重1kgあたりで取り込める酸素量)は基本的には計器での計測が必要になります。心拍数(1分間に心臓が拍動する回数)は自分で測ることができます。
心拍数は人によって異なるため、安静時の心拍数を測ることで、運動強度から計算ができます。計算式は【カルボーネンの式】で[(〈220-年齢〉 – 安静時心拍数) x 65% + 安静時心拍数]となります。50歳で安静時の心拍数が70拍/分の人の最大心拍数の65%は135拍/分になります。
筋持久力や心肺機能が向上すると心拍数は変わってきます。定期的に安静時や運動後の心拍数を測り強度の見直しをすることが必要です。
Eペースジョギングの目的
Eペースジョギングの効果は、①基礎的な体力作り ②心筋の発達 ③毛細血管の新生などです。
①基礎的な体力作り
練習の多くを「話ができるペース」「楽に走れるペース」である適度な負荷で行うことで、身体全体の筋力や筋持久力を少しずつ高めることができます。
②心筋(心臓壁を構成する筋肉)の発達
心臓の拍動1回で送り出される血液量は、最大心拍数の60%以上では殆ど変わらないと言われています。Eペースの心拍数の目安は最大心拍数の65-78%ですので、心筋を鍛えることができます。
③毛細血管の発達
適度な強度の有酸素運動は、筋細胞に効率よく酸素を運ぶ必要があります。そのため、毛細血管を増やす(新生する)ことで、血液の流れを良くし、酸素や栄養素を血管の隅々まで運ぶべるようになります。
自分にとってのEペースとは


運動経験や年齢によって最大酸素摂取量や最大心拍数は変わります。推定最大心拍数は[220-年齢]です。Eペースは[最大心拍数の65-78%]が目安とされているため、自分の「Eペース」を知っておくことが大切です。
運動強度から心拍数を求める場合は、安静時心拍数(静かにして10秒間心拍数を測り6倍する)が必要になります。これはトレーニングを続けることで変化してくるため、「以前より楽過ぎる」と感じるときは測り直してみましょう。
サブ3のEペース走目安
フルマラソン3時間以内完走を目標にしている人は、Eペースは1kmを4分38秒~5分14秒が目安となります。
最低30分続けて走ることで、練習効果が高くなると言われますが、最高でも150分までとしています。また、週間走行距離が64km未満の人は、週間走行距離の30%以下が良いとされていますので、月間200kmの走行距離(週50km)の人は、15kmが上限になります。
ペース走、ビルドアップ走、レペティション走など様々なポイント練習がありますが、これらは疲労を蓄積するため、週に2-3日程度しかできません。
それ以外の日は、筋力強化のためにEペース走を可能な限り疲労を抑えておこなうことになります。
ペースごとの目安計算表
Eペースで走った場合のフルタイムと代表的な走力レベル(VDOT)別のEペースは下記のようになります。
VDOT | フルマラソン | ハーフマラソン | 10km | Eペース | |
サブ3.0 | 54 | 2:58:47 | 1:25:40 | 38:42 | 4:38~5:14 |
サブ4.0 | 38 | 3:59:35 | 1:55:55 | 52:17 | 6:11~6:54 |
サブ5.0 | 29 | 4:58:00 | 7:12~7:53 | ||
サブ6.0 | 23 | 5:56:30 | 7:57~8:41 |
Eペースの活用法
実際にEペースで走ってみると「楽に話ながら走れるペース」と言うより、「何とか話ができるペース」で、同じペースで走り通すことがどうにかできるスピードになる人が多いです。きつすぎると感じる人は、最大心拍数の60%程度で抑えて、疲労を蓄積しすぎないことが大切です。
有酸素運動の能力アップや持久力アップは最大心拍数の70-80%のジョギングですが、持久力アップや脂肪燃焼には最大心拍数の60-70%で効果が期待できます。
最大心拍数の60%でも筋肉に刺激を与えることができ、運動強度の応じた毛細血管の新生が可能になります。また、継続できるスペースは走る時間を増やすことできるため、長く走れる自信に繫がります。
Eペース以外にもある各ペースと効果


ダニエルズ氏が打ち立てたトレーニングペースはEペース以外に、4種類のペースがあります。「Mペース(Marathon)」⇒「Tペース(Threshold)」⇒「Iペース(Interval)」⇒「Rペース(Repetition)」で、Rペースが一番運動強度が強いです。
それぞれに適した時間と距離があります。初心者の人でもレベルに合わせてレースペース走、乳酸性作業閾値の改善、最大酸素摂取量の向上、有酸素運動・無酸素運動の効率アップに取り組むことができます。
Eペース走
おさらいですが、Eペース走です。最大心拍数の65-78%の強度で「人と話ができるペース」で、1回の時間は30分~150分で行うことを奨めています。
ウォーミングアップをやクールダウンで走るペースで、運動強度より長く走ることを大事にしたトレーニングになります。
また、週間走行距離が64km未満の場合は、週間走行距離の30%以下が良いと言われています。例えば、週間走行距離が40kmの人は10kmくらいがロング走となり、週80kmたど20kmとなります。
よって、月間走行距離が300km以下であれば、20km以上のロング走るは必要ない可能性があります。
Mペース走
「Mペース(Marathonペース)走」は、フルマラソンのレースペース走のことです。レースコンディションを経験するために行う練習で、継続時間は90-150分で、走行距離は25kmを超えない方が良いと言われています。
生理学的な基準値でMペースの強度を表すと「最大酸素摂取量の75~84%」「最大心拍数の80~89%」になります。50歳で安静時心拍数が70拍/分の場合、150~159拍/分が目標心拍数になります。
調子が良い日にMペースで走ることは、実際のレースペースに慣れることや設定したレースペースで走ることで自信を付ける効果が期待できます。
Tペース
「Tペース(Threshold(閾値)ペース)」は、乳酸性作業閾値(LT値)とほぼ同じです。つまり、血液中の乳酸濃度が急激に上昇し、乳酸が溜まり始めるポイントのことです。
乳酸性作業閾値より速いペースで走ることで、エネルギーとして脂肪ではなく糖質が使われやすい状態になります。糖質は体内に貯蔵できる量に限りがあるためできるだけ使いたくありません。
乳酸性作業閾値は絶対的な値がなくトレーニングにより改善することができます。また、乳酸性作業閾値を把握しTペースで走ることで閾値を向上させることが可能になります。
ポイント練習のペース走にあたり、練習のときは20分程度継続できるペースで、レースでは60分間継続できるペースとなり「早く終わって欲しい」と感じる強度になります。
Iペース
IペースはInterval走のことで、Iペースの目的は、最大酸素摂取量の向上と有酸素運動の効率アップです。最大酸素摂取量が高くなれば、長時間運動したり、運動強度が高くても、十分な酸素を体内に取り込めるため、運動を継続することが可能になります。
最大酸素摂取量は、年齢とともに低下してしまうため、身体に刺激を与えるトレーニングが必要になります。
疾走時間は、1本当たり3-5分で、2分間走ったくらいから身体に刺激が入ります。刺激時間を増やすため、各々の体力によって適切な疾走時間は異なります。
多くの方は800-1600mを5本程度となり、休息時間は疾走時間と同じか少し短い時間で、Eペースかジョギングで繋ぐと良いとされています。
Rペース
Rペースは、Repetitionペースのことで、繰り返しトレーニングです。目標心拍数は最大心拍数の100%で、50歳の安静時心拍数70拍/分の人の場合は170拍/分です。Rペースの目的は、無酸素運動の効率アップやランニングフォームの改善です。
疾走時間は2分未満で、1本当たり600m以内になります。1回ごとの疾走ペースをキープすることが大切なため、休息時間は立ち止まっても、ウォーキングしても構わず、疾走時間の2-4倍を取ります。Iペースよりもかなり速いペースのため、フォームを崩さず走ることが重要になります。
LTペース
こちらはTペースと同じです。
ジョギング先生のワンポイントアドバイス

一定スピードで走るEペースは最大心拍数の65-78%のため、ジョギングより速いペースと感じる人が多いかもしれません。疲労が溜まっていると思ったときは、無理せず完全休養に切り替え、しっかりと身体を休めることが大切です。
継続するために重要なことは「毎日走ること」でなく、「質の高い練習をすること」です。疲労の蓄積でケガをしてしまうと中断することになってしまいます。体力やレベルに応じたポイント練習やEペース走などトレーニングを組み立てることが大切です。
【カテゴリー】この記事のカテゴリーはジョギングペースとやり方です。
まとめ
市民ランナーであれば「サブ4」を目標にしている人も多いと思います。現在がフルマラソン5時間程度であれば、レベルに応じた練習を積み重ねることが大切です。
徐々に最大酸素摂取量や乳酸性作業閾値などが向上し、目標に近づいていきます。その為に、Eペースなどダニエルズ氏の5種類のペースを上手くトレーニングに取り入れて行きましょう。

健康運動実践指導者・健康管理士一般指導員の勉強を通じて、健康について運動・食べ物・メンタルなど多くの知識を身に付けています。
知識を知恵に換え実践することで、今でも体力年齢は20歳代をキープし、「華麗に加齢」を目指しています。 2019年3月から、一般社団法人日本ランニングファシリテータ協会認定コーチとして、イオンモールで朝活ランニングの指導をするなど、走る楽しさを伝えています。