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ジョギングでくるぶしの内側に痛みを感じたら要注意です。ジョギングやランニングでは着地時に歩くときの3倍程度の荷重がかかると言われています。そこで今回は「くるぶしの内側の痛み」に焦点をあててご紹介しています。痛みを感じている人は是非参考にしてくださいね。
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ジョギングでくるぶしの内側に痛みを感じた時の対処法
くるぶしの内側後ろには「後脛骨筋(ふくらはぎ~内くるぶしの後ろ~土踏まずまで通る筋肉)」があります。後脛骨筋は、土踏まずをあげる働き、足の底屈(つま先を伸ばす)や足の内反(親指を上の方に引き上げる)の役割があります。
筋肉の力を骨に伝える繊維の束を「腱」と言います。動かし過ぎると摩擦で腱が炎症を起こし痛みを感じると「後脛骨筋腱炎」になります。
痛みを感じたら安静にしアイシングをおこないます。それでも炎症が治まらない、または痛みが続く場合は医療機関を受診しましょう。
医療機関は何科に行けばいいのか
整形外科は、関節や骨・筋肉の専門知識を持った医師がいます。整骨院や接骨院でも足首の痛みについて相談はできますが、医師の資格を要する検査は受けられません。
整形外科やスポーツクリニックでは、確かな知識で足首の痛みの原因を特定してくれます。症状の原因を特定するためにも、まず専門医がいる病院を受診してください。
問診後触診があり、くるぶし周辺の圧痛の有無や足首を内反(内側に向ける)、底屈(つま先を踵に向ける)させたときの痛みの有無で後脛骨筋炎と判断されます。
また、つま先立ちテストでも痛みが出たり痛みが強くなる場合は陽性とみなされます。症状が重い場合はMRI検査を行い腱の状態を確認します。
医療機関で行う治療法の例
後脛骨筋腱炎の場合の治療法は以下のとおりです。
安静 | 運動を制限したり完全な休止を勧められます。症状により運動制限と合わせてテーピングで足首の動きを制御することがあります。 |
補助具 | 普段履いている靴に中敷き(土踏まずをサポートするインソール)を入れることで足首の負担を軽くしたり、器具(装具)を靴の中に入れて足首のサポートをしっかりする対策が取られます。 |
服用や注射 | 運動30分程度前の非ステロイド性抗炎症薬を服用し痛みと炎症を低減させることができます。足首の痛みが強いときは、ステロイド注射をする場合もありますが、薬の効果が現れるまで3日ほどかかります。体質により異なりますが、一般的に鎮痛効果は2-3週間程度持続します。 |
後脛骨筋炎は運動制限とアイシング
後脛骨筋は、荷重時に足や身体を安定させたり、着地時の衝撃をやわらげる働きがあります。ジョギングやウォーキングなどで筋肉や腱に負荷がかかり過ぎ、炎症を起こし痛みや腫れが生じることになります。
痛みがあり熱を持っていれば先ずはアイシングと安静が大切です。保冷剤や氷嚢(アイスバッグ)などをタオルで包み直接肌に触れないように1回20分程度行います。
足の感覚がなくなったら直ぐに中止して、感覚が戻ったときに熱があったり腫れていれば再び冷やします。腫れが引いて熱がなくなれば次は温めて血流を良くします。血行が良くなることは回復を早めることに繋がります。
土踏まずをサポート
基本的には土踏まずのアーチ(内側縦アーチ)が崩れることで足首やふくらはぎに大きな負担がかかり、回内足になってしまいます。
回内足とは、踵(かかと)が内側に向いている状態です。回内足により重心の乗る位置が内側に入り、足首の内側の靭帯などに負荷がかかりすぎてしまい、後脛骨筋炎の原因となります。
足には3つのアーチがあり、このアーチ構造により着地時の衝撃を受け止めています。
- 内側縦アーチ:かかとと親指の付け根(第1中足骨)を結ぶ
- 外側縦アーチ:かかとと小指の付け根(第5中足骨)を結ぶ
- 前側アーチ:親指の付け根(第1中足骨)と指の付け根(第5中足骨)を結ぶ
土踏まずをサポートするインソールやソックス、テーピングを使用することで足にかかる負担を軽減することが可能になります。
場合によっては手術
安静や薬物療法などの非外科的治療でなかなか症状の改善がみられない場合は、手術(外科的治療)をすることがあります。
後脛骨筋腱鞘炎に対する手術の例は以下のとおりです。
腱鞘切除術(腱の掃除) | 腱の周りにある炎症組織(腱鞘)を除去してきれいに掃除します。 |
骨切り術 | 柔軟性に問題が無い偏平足の形を骨切りによって変化させ、より正常なアーチの形を作ります。 |
腱移行術 | ダメージを受けた後脛骨筋腱を除去して、足部にある他の腱で置き換えます。 |
稀ではありますが、腱鞘炎の手術を行うと後遺症が残る場合があります。手術を決断する前には、医師とよく相談することをお勧めします。
ジョギングでくるぶしの内側に痛みが生じる原因
足(くるぶしから指先までの部分)は、18の筋肉・12の腱・26の骨(種子骨除く)・33の関節からなり、体重をバランス良く分散し受け止める構造になっています。
足や足指を動かしている筋肉の多くは、膝の下あたりから繋がっているため、痛みを感じる部分が損傷しているとは限りません。
踵(かかと)がくるぶしの内側に倒れるような動きを「オーバープロネーション」と呼び、後脛骨筋腱に大きなストレスをかける原因になることがあります。着地時に踵が内側に倒れる癖がある人は痛めやすい部位になります。
足首を捻るとくるぶしの靭帯を傷つけることがあります。過去に捻挫したことがあれば、靭帯が緩んでいる場合があり捻挫しやすくなってしまいます。
体重のかけ過ぎ
後脛骨筋はつま先立ちをするときに使う筋肉で、ふくらはぎの深部から内側のくるぶしの後ろを通って土踏まずまで達しています。
土踏まずは、歩いたり走ることによる衝撃を吸収しているため、体重の増加、運動不足による筋力低下、足関節周辺の柔軟性の不足などにより、アーチ構造が保ちにくくなってしまいます。
後脛骨筋腱は足を支える重要な腱のひとつで、体重をかけた時に足を安定させたり、歩行機能を助けたりしています。
通常足指の人差し指と中指の間に重心が乗るような構造ですが、踵がくるぶしの内側に向くことで重心の位置が内側によってしまい、後脛骨筋や後脛骨筋腱などに負担がかかりすぎ痛みを発症する原因になります。
女性は男性より筋肉量が少なく、特に中年以降の体重増加も手伝って後脛骨筋に負担をかけることになります。
長時間の負荷
後脛骨筋腱炎は、ジョギングやランニングなど足への衝撃が大きい運動を長時間することで起こりやすくなります。
「腱」は骨と筋肉を繋ぐ役割があり、「腱鞘」は腱と骨の距離を一定に保つ働きがあります。使い過ぎると内部で摩擦が生じることにより腱鞘炎を起こしてしまい、内くるぶしの後ろ周辺に痛みを感じるようになります。
また、長時間ジョギングを繰り返すことで、ふくらはぎの筋肉に負担がかかり過ぎてしまいオーバープロネーションになり、その結果アーチが崩れくるぶしの内側に痛みを発症することがあります。
偏平足
偏平足の人は足のアーチが低いか土踏まずが無い状態のため、着地時の衝撃を受けやすく足に負担がかかることになります。
筋力・柔軟性・筋持久力の低下が原因で後脛骨筋の機能が低下することで、内側縦アーチが維持できなくなり、偏平足や足首の変形が起こることがあります。
また、偏平足になることで足首やふくらはぎの負担が大きくなり、回内足になってしまうことがあります。
足裏や足首周りの筋肉を鍛えたりストレッチをすることで改善を図ることができます。内側縦アーチ(土踏まず)は、荷重のコントロールや衝撃の吸収の役割があり、ジョギングによる衝撃を緩和し怪我のリスクが軽減されます。
ジョギング先生のワンポイントアドバイス
継続的に運動している人は、早期発見・早期治療に努めましょう。後脛骨筋腱炎が原因でくるぶしの内側が痛いときは1週間程度で治ります。
無理しなければ重症化になることも少ないです。また、足関節周りの筋肉や腱のストレッチやマッサージをおこなうことで柔軟性を取り戻すことに努めましょう。
【カテゴリー】この記事のカテゴリーはジョギングによるケガです。
まとめ
足は緻密な構造になっています。人によって癖があり、繰り返し動作が続いたり、長時間おこなうことで痛みに繋がることがあります。痛みの原因を理解し正しく対処することで早期回復を図ることが大切です。
健康運動実践指導者・健康管理士一般指導員の勉強を通じて、健康について運動・食べ物・メンタルなど多くの知識を身に付けています。
知識を知恵に換え実践することで、今でも体力年齢は20歳代をキープし、「華麗に加齢」を目指しています。 2019年3月から、一般社団法人日本ランニングファシリテータ協会認定コーチとして、イオンモールで朝活ランニングの指導をするなど、走る楽しさを伝えています。