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ジョギングは健康にどんな効果があるかご存知ですか?良いと言われることも頑張りすぎると逆効果になるときがあります。この記事ではジョギングが及ぼす健康効果についてご紹介しています。是非、習慣的に走ることに活かしてくださいね。
Table of Contents
ジョギング先生の林さとみと申します。ジョギングに関するお役立ち情報を紹介します! ジョギング先生 林さとみ 相談者のAさんいろいろ教えてください。
ジョギングによる健康効果!毎日続けるメリットとは
ジョギングは速さによって運動強度は異なりますが、ゆっくりペースは中程度の運動強度になり、健康に多くの効果が期待できます。
走ることで取り込む酸素量が増加すると心肺機能が向上します。また血流が良くなることで新陳代謝が促進されダイエット効果がアップする可能性があります。
また、自律神経の交感神経と関りの深いセロトニンと副交感神経を優位にするメラトニンの分泌を活発にするため、ストレス解消や質の高い睡眠に繋がります。
脂肪燃焼効果
有酸素運動は酸素とエネルギー源として糖質と脂肪を使います。ジョギング開始から20分程度は主に糖質が消費され、20分以降から徐々に脂肪の消費量がアップすると言われています。
30分走る場合、1回10分で3回に分けても、連続で走っても消費エネルギー量は同じですが、連続して走ることで脂肪燃焼効果が高くなります。
また、運動強度の強い方が脂肪が燃えやすいと思われがちですが、中程度の運動強度のジョギングなどが最も脂肪をエネルギー源として消費します。
そして、走るときは適度にお腹が空いている方が脂肪燃焼効果がアップします。食事から時間が経過していると血液中の糖分(ブドウ糖)が不足している状態で、エネルギーとして脂肪が使われることになるからです。
スタミナアップ効果
「スタミナ」とは「疲れにくさ」を意味し、心肺持久力や筋持久力・体力のことを指します。「スタミナ」は最大酸素摂取量の50%の運動強度を30分程度おこなうことでアップします。
最大酸素摂取量の50%の運動強度は最高心拍数の55-60%程度の運動になります。運動強度55%の心拍数を求める計算式は[((220-年齢)-安静時心拍数)x55%+安静時心拍数]で、年齢50歳、体重50kg、安静時心拍数70拍/分の場合、125拍/分となります。
125拍/分の心拍数は、話ながら楽に走れる運動強度になります。10分を3回走っても30分続けて走っても同じ効果があると言われています。
楽に走ることができると続けられるモチベーションに繋がります。それにより、心肺機能が鍛えられるため、1回の吸気で多くの酸素を取り込むことができます。
また、心臓1回の拍動で排出される血液量が増加するため、身体の隅々まで酸素をたっぷり含んだ血液を送り込むことができるようになります。
ストレス軽減効果
一定のリズムで同じ動作を繰り返す運動を「リズム運動」と言います。リズム運動をすることで「幸せホルモン」と呼ばれる「セロトニン(脳内の神経伝達物質)」の分泌が活発になります。セロトニンが不足するとストレスや疲労・イライラ感が強くなってしまいます。
ジョギングはリズム運動の1つで、走り始めて5分程度からセロトニンの分泌が高まり20-30分でピークに達します。人と話ができるペースのジョギングは、爽快な気分になりストレス軽減効果が期待できます。
疲れたと感じるまで続けるとセロトニンの機能が低下するため逆効果となります。セロトニンは朝に日光を浴びることで徐々に分泌を増やしていきます。可能なら朝から夕方までの間に軽く走りましょう。
身近なリズム運動は、咀嚼(噛むこと)・呼吸・ウォーキングなどがあります。デスクワークの人はガムを20分程度噛むことでもセロトニンの分泌を高めることができます。
代謝アップ
ジョギングは全身運動です。走ることで身体全体の血流が良くなり、身体の隅々まで十分な酸素を届けることができ新陳代謝が促進されます。
また血液は筋肉のポンプ作用によって心臓に戻っていきます。走ることで特に脚(ふくらはぎ)の筋肉が鍛えられるため、老廃物や疲労物質などがスムーズに回収される排出できることになります。
筋肉痛や疲労感が少ないと継続しやすくなるため、緩やかに筋肉が強化されていきます。筋肉が増えると基礎代謝量(生命活動を維持するために消費される必要最小限のエネルギー量)が増加するため、太りにくい体質へ改善することに繋がります。
また、十分な水分補給をおこない30程度走ると汗ばんできます。汗をかくことで老廃物の排出が促進され肌の新陳代謝が促されるため美肌効果が期待できます。
睡眠の質が上がる
リズム運動であるジョギングをすることで、「睡眠ホルモン」と言われる「メラトニン」の材料である「セロトニン」の分泌が盛んになります。
日中に十分なセロトニンが分泌されることで、起床から14~16時間後に徐々にメラトニンが分泌されるようになり眠気を感じてきます。
眠りを司るホルモンの「メラトニン」は、自律神経の副交感神経を優位にし深部体温や心拍数を低くしていく働きがあります。
夕方から夕食までに走ることで体温が上がり、更に入浴で体温を上げると、睡眠までの体温の下がり幅が大きくなるため深い眠りに入りやすくなります。
睡眠の質を上げるためには、夕方から夜にかけて中程度の運動強度のジョギングを10~30分おこなうことをお勧めします。
ジョギングによるデメリット
健康に良いと考えて始めたジョギングもやり方次第でデメリットになることがあります。ジョギングはペースが速くなると運動強度が強くなります。
現状の筋力や柔軟性に適していない強い強度の運動をおこなうことでケガの原因になることがあります。また、無理しすぎると故障に繋がり長い間走ることが出来なくなる可能性があります。
話ができない程の強度になると酸素を使わないエネルギー供給回路になってしまい尿酸値上昇を引き起こすかもしれません。
身体を傷める可能性がある
運動から離れている人は、心肺機能や筋持久力が低下し、筋肉や関節の柔軟性が乏しくなっている可能性があります。走るときの着地時は体重の約3倍の重さが片足にかかります。
これは体幹などバランス良く身体全体を使って走れた場合で、フォームが崩れていると5~10倍かかることもあります。
筋力や柔軟性が不足している状態で走りすぎたり、運動強度の高いジョギングをおこなうと故障の原因になってしまいます。特に体重が重めの人は膝や足への負担が高くなるため注意が必要です。
また、走り慣れているひとでもいきなりペースを速めたり、長い時間走ることで、身体の負担が大きくなりケガに繋がるかもしれません。
ジョギングの前のウォーミングアップ、走った後のクールダウンをしっかり行うことがケガ防止になります。またバランスの良い食事や質の良い睡眠で身体の回復に努めることも大切です。
無理しすぎると疲労が溜まる
運動習慣がなかったり、走り慣れてない人が、毎日走ることで疲労を溜めてしまうかもしれません。筋肉は適度に休養を取ることで筋繊維が太くなりパワーアップしていきます。
話ができる速度で走っているときは脂肪がエネルギーとして使われますが、運動強度が強くなると糖質がエネルギー源として利用される割合が増えてきます。しかし、身体に蓄えられている糖質は多くないためエネルギー不足になり身体が疲れてしまいます。
また、脂肪や糖質をエネルギーに換えるには酸素が必要ですが、速いペースになると呼吸が浅くなり十分な酸素供給が難しくなるため、エネルギー転換に時間がかかることになります。
同じ距離を走っても初心者で正しいフォームで走れないときは余分にエネルギーを使うことになり、エネルギー消費量が増加するため、余計疲れが溜まることに繋がってしまいます。
過度な運動で尿酸値が上がる可能性がある
息が上がり酸素が充分に供給されない場合、酸素を使わない解糖系からエネルギー源のATPが作られます。それにより、体内のプリン体が多く作られ尿酸が増え、尿酸値が上昇してしまいます。
また、運動による筋肉の「超回復」には、筋繊維の破壊や再生が繰り返されます。筋肉が再生する過程で、プリン体の分解が促進され尿酸が増加し、血液中の尿酸値が高くなってしまいます。
体内のプリン体は肝臓で分解され、老廃物として発生する尿酸は尿などの排泄物として体外の排出されます。運動で大量に汗をかくことで体内の水分が不足した状態になると尿酸が体外に排出されにくくなってしまい、尿酸値が上ることもあります。
血液中の尿酸値が上昇すると尿路結石や痛風発作が起きてしまう可能性が高くなります。
ジョギングに最適な頻度や注意点
健康のためには毎日ジョギングする必要はありません。特に運動から離れている人は筋持久力や心肺機能が低下しているため、続けられることを少しずつおこなうことが大切です。
また、中程度の運動強度が身体への負担が少なく、故障せず続けられる可能性が高くなります。
ジョギングの運動強度は7~10メッツですが、スロージョギングは4~6メッツで身体の負荷が小さい運動強度になります。
普段からお風呂上りなどにストレッチを行い身体をほぐす習慣を身につけることで、関節や腱の柔軟性が高められていきます。
ジョギングに最適な頻度
ジョギングは長い期間続けることで様々な効果が期待できる運動です。特に初心者は毎日走ることを目標にすると負担に感じてしまい走ることが楽しくなくなり辞めてしまうことに繋がります。
週に2~3日程度から始め、走り慣れてきたら1日ずつ増やしていくと良いでしょう。あらかじめ基本の曜日を決めておくと生活パターンが出来上がるため継続しやすくなります。
また、最初から30分走ると考えると難しく感じる可能性がありますので、1日に20~30分とし、1回に10分程度を3回に分けて走ることも良いでしょう。「続けて走ることができる日数や時間」から始めることが大切です。
スロージョギングのすすめ
スロージョギングは「人と楽に話しができる」程度のペースです。運動強度は、4-6メッツで中程度の運動になります。4メッツ=約12分/km、6メッツ=約9分30秒/kmで、早歩きでも対応できるペースで苦しさを感じないため、長く走り続けることができます。
ジョギングとウォーキングの違いは、「跳ぶ」動作の有無です。ゆっくりペースのスロージョギングでも跳ぶ動作があるため、歩くときと比べて2倍近くのエネルギーを消費します。また着地時の衝撃がウォーキングより強くなるため、徐々に衝撃に耐えられる筋力がついてきます。
楽に走ることができるペースは息が上らないため、正しいフォームを意識することができます。
- 目線は前方10-20m先
- 背筋を伸ばして骨盤はやや前傾
- 腕は肘を曲げ肩甲骨から後ろに引くイメージ
- 重心は身体の真下
- 地面を蹴るときは足の人差し指と中指が最後に離れる感覚
※メッツ(MET‘s):安静座位の状態を1METとして、様々な活動がその何倍のエネルギーを消費するか示した活動強度の指標です。
ストレッチはしっかり行おう
ジョギングの前のストレッチは軽く弾みをつける動的ストレッチで、血流を良くし筋温を上げていきましょう。手先・足先から腕・脚、体幹へと順番に動かすことで体温が上昇し、筋肉や腱の柔軟性が向上していきます。筋肉が温まってない段階で伸ばすストレッチをおこなうと筋や腱を痛めることになってしまいます。
走り終わったらゆっくりと伸ばす静的ストレッチで筋肉の緊張をほぐすことで血行を促します。深く呼吸しながらおこなうことで血管が拡張し十分な酸素を供給できるため、老廃物や疲労物質を体外に排出されやすくなります。
走った日は入浴後の身体が温まったときに、股関節周り・太ももの前や後ろをゆっくり伸ばすことで筋肉や腱が柔らかくなり可動域が広がるため運動時のケガ防止に繋がります。
ジョギング先生のワンポイントアドバイス
ダイエットを目的に走っている人は、適度な運動と合わせて栄養バランスや睡眠時間も大切です。運動の後はタンパク質や糖質をしっかり摂り身体を回復させる必要があります。
また身体を回復させるには7時間程度の睡眠が最適と言われています。睡眠時間確保のため早く寝ることで夜の間食がなくなりカロリーの摂り過ぎを防ぐことができます。
【カテゴリー】この記事のカテゴリーは毎日ジョギングする効果です。
まとめ
ジョギングは有酸素運動で、脂肪燃焼効果アップ・ストレス軽減・睡眠の質の向上など様々なメリットがあります。しかし、走る強度が強すぎたり長時間過ぎる場合は、身体に疲れが溜まり故障に繋がるとういうデメリットもあります。
自分の体力や筋力に見合ったトレーニングを行うことで、ケガなく長く続けていくことが大切です。ジョギングは継続することで健康効果が高まる運動です。
健康運動実践指導者・健康管理士一般指導員の勉強を通じて、健康について運動・食べ物・メンタルなど多くの知識を身に付けています。
知識を知恵に換え実践することで、今でも体力年齢は20歳代をキープし、「華麗に加齢」を目指しています。 2019年3月から、一般社団法人日本ランニングファシリテータ協会認定コーチとして、イオンモールで朝活ランニングの指導をするなど、走る楽しさを伝えています。