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ジョギングが血圧に及ぼす影響をご存知ですか?ジョギングは高血圧や低血圧を正常に戻す効果があると言われています。この記事では血圧の改善方法をご紹介しています。是非自分に合った走り方を試してみてくださいね。
Table of Contents
ジョギングと血圧の関係
ジョギングは有酸素運動で走るペースにより運動強度を調整できます。運動強度が中程度のスロージョギングでも心肺機能が向上し、血行が良くなり新陳代謝が促進されます。
適度な運動は血圧を一時的に上昇しますが、運動により血管が拡張されるため運動後は血圧が低下します。
十分な水分補給を行うことで血流が良くなり、酸素や栄養素が毛細血管までスムーズに運ばれるため、高血圧を下げ、低血圧を改善し血圧を正常に戻すことが期待できます。
高血圧と低血圧とは
「血圧」とは、心臓から全身に送り出される血液が血管の内壁を押す力のことで、心臓から送られる血液量(心拍出量)と血管の硬さ(血管抵抗)で決まります。
心臓の筋肉がギュッと収縮して血液を動脈に押し出す時の圧力を「収縮期血圧」=「最高血圧」、全身から血液が戻ってきて心臓の筋肉が最もゆるんだときの圧力を「拡張期血圧」=「最低血圧」と言います。
血圧は1日の中で変動しますが、家庭血圧の正常値は最高血圧=100-135mmHg、最低血圧=50-85mmHgです。
《日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」》
「高血圧」:病院で緊張しながら測る場合は、収縮期血圧=140mmHg以上、若しくは拡張期血圧=90mmHg以上
「低血圧」:収縮期血圧が100mmHg以下、若しくは拡張期血圧が60mmHg以下
血圧はどんな時に上がるのか
血圧が上昇する要因は複数ありますが、運動時に焦点を当てると下記のようなものがあります。
- 無酸素運動のような運動強度が強すぎる運動(ゼイゼイ、ハアハアと激しく呼吸する状態)は、心臓が1回で送り出す血液量(1回排出量)が増えるため。
- 運動中は多くの酸素や栄養分が必要なため、心臓から多くの血液を送って血液量を増やします。血流量が増えることで、血管にかかる圧力が上がります。
- 水分補給を十分にしてないときは、水分不足により血液がドロドロになり、血管内をスムーズに流れることができないため、圧力を強めて血液を流そうとします。
- 寒い時期は体温を保とうとして血管が収縮してしまうため、血圧が上昇しやすくなります。室内外の気温差が大きいときは注意が必要です。
- ストレスを感じた時にストレスホルモンが分泌されることによあり心拍数が増加し血管が収縮することで血圧が上がります。
血圧が上がるとどうなるのか
血圧が上るということは、血管の内壁にかかる圧力が上昇する状態になるため、血管に負担をかけることになります。血圧が高くなっても自覚症状が無い人が多いので見過ごしてしまいます。
急な血圧変動が頻繁に起こることで、血管が傷つきやすくなるため、血管壁の修復をおこないます。このとき血液中のコレステロールなどで傷ついた部分を補修するため、血管壁が厚くなり血管内を細くします。
これに伴い血管の柔軟性も低下してしまい動脈硬化(血管の硬化)を早めることになってしまいます。動脈硬化があると血流が悪くなり、さらに血圧が高くなるという悪循環を起こしてしまいます。
血圧が高い人のおすすめジョギング方法
「人と話をしながら走れるペース」のジョギングは、血圧の上昇が少ない運動強度になります。ジョギングは酸素を使ってエネルギーを産生する有酸素運動のため、脂肪燃焼効果が期待できます。
運動は一時的には血圧を上昇させますが、継続することで血圧を下げていくことが期待できます。そのためには継続することが大切です。
自分の体力に合った続けられるメニューを取り入れることで、心肺機能が向上・血液循環が改善・新陳代謝が促進されるようになっていきます。それにより、ダイエット効果も期待できます。
ウォーキングやスロージョギングを意識する
ウォーキングやスロージョギングは運動強度が強くない有酸素運動になります。有酸素運動は酸素を取り込んで糖質や脂質をエネルギーとして使用するため体脂肪減少が期待できます。
ウォーキングの運動強度は、15分/kmの場合約3メッツ、11分/km=約4メッツになります。スロージョギングは「跳ぶ」動作のためゆっくりペースでも運動強度はウォーキングより高くなり、12分/km=約4メッツ、10分45秒/km=約5メッツです。
運動習慣のない人は筋力や心肺機能が低下している可能性があるため、自分の体力に合わせて行うことが大切です。
運動強度は心拍数でも知ることができ、初心者は概ね110-120拍/分程度を目安にすると良いでしょう。心拍数は年齢や安静時心拍数により個人差があるため、カルボーネン法で計算してみてください。
計算式 = ((220-年齢) – 安静時心拍数) x 運動強度(%) + 安静時心拍数
50歳、安静時心拍数70拍/分、運動強度50%の場合
((220-50 ) -70) x 50% + 70 = 120拍/分
メッツ(METs):安静座位の状態を1METとして、様々な活動がその何倍のエネルギーを消費するか示した活動強度の指標です。
無理なく継続する
運動中は筋肉を動かすために多くの酸素や栄養が必要になります。それらを十分に供給するために血液量を増加させるので、運動強度が強くなくても最高血圧は上がります。しかし、血圧の上昇は一時的なことで長期的には血圧を下げる効果が期待できます。
有酸素運動でありリズム運動でもあるウォーキングやジョギングは、血液循環の改善、幸せホルモンであるセロトニンの分泌の増加、動脈の伸展性促進などの複数の要素が関係し血圧が低下すると推測されています。
運動を辞めてしまうと血圧は上ってしまうため、血圧を下げるには続けることが大切です。高血圧改善には1回20分程度1週間に3-5回、継続できる運動メニューを考えて取り入れていきましょう。
こまめに水分を補給する
運動中は通常より汗をかくため運動前・運動中・運動後に十分に水分を補給することが大切です。こまめな水分補給は血流を良くするため、血圧の上昇を抑えることに繋がります。
水分が不足すると血液がドロドロになり、血流が悪くなってしまうため、血圧が上昇してしまいます。
喉の渇きを感じたときは既に体内で水分不足を起こしている可能性が高いです。水分が身体に吸収されるには30分程度時間がかかります。
また、1回に吸収される水分は200ml程度と言われており、一度に大量の水分を摂取しても吸収されません。
運動前にコップ一杯の水分を摂り、運動中はこまめに補給し、運動後は適宜摂るようにしましょう。発汗量が多いときはミネラルも不足しているため、ある程度塩分が含まれたものを摂ると良いでしょう。
服装に配慮する
継続するには快適さが重要になってきます。年中通して発汗速乾性機能のあるウェアを着ることで不快感を防ぐことができます。
暑い時期は通気性の良い上着や紫外線防止にサングラスやキャップなどのアクセサリーを工夫することで快適に走れます。
また、寒い時期は脱ぎ着しやすいファスナー式のウィンドブレーカーや防寒着としてアームカバー・レッグウォーマー・ネックウォーマーなどを利用すると走る前の寒さを防ぎ室内外の温度差を補うことができます。
初心者は筋力が低下している可能性が高いため、ランニング用の靴で走ることをお勧めします。膝や足首のケガの防止に繋がり継続して走ることができます。
ステップアップも無理なく
ウォーキング(普段の歩行と違い健康を目的としフォームを意識した歩き)から始める方は、最初は10分から少しずつ時間を増やしていきましょう。
15分~20分~25分と徐々に時間を増やし30程度歩けるようになればスロージョギングを5-10分取り入れてみましょう。
スロージョギングを10分~15分と増やしてウォーキングと逆転した時点で、30分通して走ってみましょう。
それぞれの段階を1週間程度を目安にステップアップすることで、徐々に筋力や心肺機能が向上するため、無理なく続けることができます。
ウォーキング時に正しいフォーム
- 視線は前方10-20m先
- 背筋を伸ばす
- 腕は肩の力を抜いて肘を曲げ後ろに大きく振るイメージ
これらを意識すると良いでしょう。
他の人と競わない
運動経験や運動から離れている期間などによって体力や筋力に違いがあります。特に運動経験のある男性は競争意識が強い人が多い傾向にあります。
競争心は興奮に繋がり血圧を上昇させてしまいます。また前の人を追い越そうとムキになって走ることでストレスを溜めてしまうかもしれません。他の人と競うことで無酸素運動のダッシュになる可能性もあります。
血圧改善のためには、自分に合った「人と話ができる程度」のペースで続けることが大切です。健康のための運動を目指している方は、自分の目標をクリアし継続することを第一に考えて取り組みましょう。
血圧が低い人のおすすめジョギング方法
血圧が低い人は体力や筋力が低下していることが多く、特に下半身の筋力が落ちている人が目立ちます。運動から遠ざかっていた人はウォーキングから始めて少しずつジョギングを取り入れると良いでしょう。
重力に従って下に降りた血液は、筋肉のポンプ作用によって心臓に戻ってきます。特にふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ下半身に溜まった血液を心臓に戻す重要な役割を果たしています。
ジョギングでふくらはぎの筋肉が鍛えられるため、血液循環が改善され血圧を正常に戻すことが期待できます。
頻度を抑える
体力や筋力が低下している人は、週に2-3日程度から始めることをお奨めします。運動習慣のない人が毎日続けることで疲労を蓄積してしまう可能性があり、筋肉の回復には部位によって24-72時間かかるからです。
運動は長い期間続けることで効果が現れてきます。血圧の低い人は筋力不足が原因であるため、徐々に筋肉を鍛えて筋力を向上させることが大切です。
毎日休まず運動を課すことは気持ちの負担となり続けることが難しくなる可能性があります。
頻度を抑え1回を丁寧に行うことでケガなく続けることができます。ジョギングの前にしっかりと水分を補給し、ウォーミングアップとして反動をつけた動的ストレッチを行います。
走り終わったらクールダウンとして反動のない静的ストレッチで筋肉の緊張をほぐし、水分を摂ることで血行を促します。
ウォーキングやスロージョギングから始める
筋力が低下している人は運動強度が低いウォーキングやスロージョギングから始めると良いでしょう。15分/kmのウォーキングは約3メッツ、12分/kmのスロージョギングは約4メッツとなり「人と楽に話をしながらできる運動」です。高血圧の人と同じく無理せず継続することが大切です。
心拍数が緩やかに上昇する軽めの運動は、初心者にとって続けやすい強度です。また、姿勢を意識できるペースのため、正しいフォームを取得することに繋がります。
ウォーキングやスロージョギングは脚を中心に使うため特に脚の筋肉が増加していきます。下肢の筋肉のポンプ作用により血液循環が改善される可能性があります。その状態が続くことで血液量が増えるため血圧が正常値に戻すことが期待できます。
めまいや動悸に要注意
運動習慣がない人が「適度な運動」と言われてもし過ぎてしまうことがあります。実力以上の運動をしてしまうと心拍数が異常に高くなり、運動後に血圧が低下しやすくなってしまいます。
運動後は自律神経の副交感神経が優位になるため血管が拡張し血液の流れが良くなるため普段より血圧が低くなります。
運動強度が強くない運動の後でも、集中力が持たなかったり、吐き気や頭痛、めまいや動悸などの症状が出たときは、運動後低血圧を引き起こしている可能性があります。
急に動きを止めたことで血液が下半身から心臓に戻れなくなり脳の血液が不足しているため、座った状態でも良いのでクールダウンをおこない血液を心臓方向へ戻すことが大切です。
運動後低血圧のめまいや動悸、吐き気などがあまりにひどい場合は、病院で検査をすることをお奨めします。
ジョギング先生のワンポイントアドバイス
高血圧は生活習慣病のとも言われています。運動以外に食事や睡眠など生活のリズムを整えていくことが大切です。
栄養バランスの良い食事・23時から7時間程度の睡眠で身体の回復が期待できます。年齢とともに血管が硬化していきますが、適度な運動と十分な水分補給で血液をサラサラにすることで正常血圧を維持していきましょう。
【カテゴリー】この記事のカテゴリーはジョギングによるケガです。
まとめ
ランニングは高血圧を下げ、低血圧を正常に戻す効果あると言われています。運動強度は筋力や心肺機能により個人差があるため、自分に合った「人と話ができる程度」のペースでウォーキングやスロージョギング~ジョギングへとステップアップすることが大切です。継続できる運動で血管年齢の若さを保ちましょう。
健康運動実践指導者・健康管理士一般指導員の勉強を通じて、健康について運動・食べ物・メンタルなど多くの知識を身に付けています。
知識を知恵に換え実践することで、今でも体力年齢は20歳代をキープし、「華麗に加齢」を目指しています。 2019年3月から、一般社団法人日本ランニングファシリテータ協会認定コーチとして、イオンモールで朝活ランニングの指導をするなど、走る楽しさを伝えています。