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ジョギングで知らず知らずに酷使している股関節!上半身と下半身のバランスをとる重要な働きをしています。この記事では、股関節痛に焦点を当てて対処法をご紹介しています。是非股関節を酷使しない走り方を身につけてくださいね。
Table of Contents
ジョギングによる股関節の痛みの原因
股関節は人間の身体で最も大きな関節で、脚の付け根にある大腿骨が骨盤に入り込んで形成されています。また、大腿骨は股関節と膝関節を構成する人間の身体で一番長い骨です。
ジョギングにおける股関節の役割は、①足の運び、②腰と共に上半身を支える、③身体のバランスの維持などで、走るうえで非常に重要な部位のため負担が大きくなります。
股関節周辺の筋肉には、太もも・お尻・腰の筋肉などがあり、股関節の痛みが起こる原因として、この股関節周りに付いている筋肉部分の炎症によることが多いとされています。
フォームが悪い
骨盤が寝てしまう猫背の姿勢で走ると、重心が着地より後ろになるため太ももの前(大腿四頭筋)やお尻(大臀筋)に負担がかかり、痛みを感じることがあります。
また腹筋や背筋などの体幹部分の筋力が弱いと正しい姿勢を維持できず、猫背姿勢になりやすいです。猫背になり骨盤が寝てしまうと腰の筋肉(腸腰筋)への負荷が大きくなり、腸腰筋と繋がっている股関節への負担も増加してしまいます。
視線が足元を向いていると背中が曲がり胸を狭めてしまいます。前方10-20m先を見ると胸を張ることができ背筋が伸びるため骨盤の位置を調整しやすくなります。
走るフォームは視線を前に向け背筋を伸ばして骨盤をやや前傾にします。それにより重心が身体の真下になるため股関節への負担を軽減することができます。
筋肉の付き方の違い
利き腕があるように「利き脚」もあります。後ろから押されたときに先に出る脚や階段を上るときに最初に出る脚が利き脚になります。
反対側の脚が身体を支えている「軸足」になります。日常生活では軸足に体重がかかり、利き脚は体重がかかってないため骨盤が利き脚の方に傾いてしまいます。この骨盤の歪みが原因で利き脚の方が太くなると言われています。
利き脚に負担がかかると筋肉の左右バランスが異なるため、片方の脚の筋肉が硬直しやすくなり股関節周りが痛くなることがあります。
立っているときは両脚に均等に体重がかかるようにしたり、階段を上るときは最初の一歩を左右交互に出すなど注意し両足均等に筋肉を付けることが大切です。
軟骨のすり減り
軟骨は弾力のある組織で骨の端にかぶさっていて、関節で骨と骨とが動き合うときに滑りやすくするクッションのような働きがあります。加齢やケガなどでこの軟骨がすり減ってしまうと骨と骨とが擦れ合うため痛みが生じることになります。
これは「変形性股関節症」と言われ、骨盤が変形しやすい女性に多いとされています。整形外科では関節内に注射や股関節周りの筋力トレーニングをしたり、痛みが取れないときは手術をします。
また、軟骨がすり減る原因として、筋肉の中の血液やリンパ液の流れが悪くなり筋肉が硬くなることが考えられます。股関節に繋がっている筋肉や腱をほぐし柔らかくしていくことで痛みが改善される可能性があります。
ダッシュのし過ぎ
ダッシュでは膝下が地面と垂直に着地しても、上半身が遅れて猫背姿勢になると重心が着地点より後ろになってしまいます。身体の重心がずれると太ももなどへの負担が大きくなり股関節痛が起こる可能性があります。
また、スピードが速くなることで股関節への衝撃が強くなるため、繰り返すことで負荷がかかり過ぎ痛みの原因になるかもしれません。
特にダッシュのような急激に筋肉に負担がかかる動きは股関節の痛みを引き起こしてしまいます。
股関節での主要な筋肉である腸腰筋(胴体と下半身を繋ぐ筋肉)やお尻の筋肉(大臀筋・中臀筋)を鍛えることで、股関節の負担を軽減できる可能性があります。
トレランで負荷がかかりすぎ
トレランでは、登山道や林道などアップダウンがある舗装されてない自然の中を走ります。岩場や草地、砂利道やぬかるみなどの不整地となるため、瞬時の対応力が必要になってきます。
普段舗装されたフラットな道を走っていると、様々な環境下で走るトレランでは負荷が大きくなってしまうことがあります。
トレランもジョギングと同じく主に使われる筋肉は、太ももの前(大腿四頭筋)、太ももの後ろ(ハムストリングス)、お尻周りやふくらはぎ、背筋や腹筋になります。
特に股関節を曲げる時に使われる大腿四頭筋、股関節の前傾姿勢に必要なハムストリングス、前に進むときや体幹を安定させるために使われる大臀筋群などの筋力が弱いと股関節に負担がかかってしまいます。
ジョギングで股関節の痛みを治すには
股関節とは、両脚のつけ根にあり、お椀の形をした「寛骨臼(かんこつきゅう)」と球体の形をした「骨頭(こっとう)」からなっています。大腿骨と連結する部分が球体のため、前後左右どのような方向にも動かすことができる関節です。
股関節には、「脚を前に押し出す」「着地の際に上半身を支える」などの重要な役割があるため負担も大きくなります。
痛みが1ヶ月以上続く場合は医療機関を受診した方が良いでしょう。
お医者さんへの相談が必須
股関節に痛みの原因は多岐にわたり、多くは命の危険性が少ない病気ですが、生活に支障をきたす場合があります。
痛みが一過性であれば心配ありませんが、痛みが酷いとき、痛みが1ヵ月以上続くとき、繰り返し痛みが起こるときは医療機関を受診しましょう。
走り始めに激痛が伴ったり、少しの動きでも股関節が痛むときは、骨と骨との潤滑油である軟骨がすり減ることにより起こる「変形性股関節症」の疑いが考えられます。痛みを我慢することで他の部位に負担をかける可能性があります。
痛みは負担がかかり過ぎる部位が炎症を起こしているサインですが、何もしないでいるとどんどん筋肉が硬くなるため、運動強度を落としたり、回数を減らした運動を勧められることがあります。
何科に行けばいいのか
様々な原因で股関節が痛くなりますが、「変形性股関節症」の痛みは股関節の骨や関節をスムーズに動かす役割の軟骨がすり減ることで起こる病気です。
骨や軟骨の変化はレントゲンで診断できる症状が多いので、先ずは「整形外科」や「スポーツ整形外科」に行くと良いでしょう。痛みの程度により対処法が異なりまので、MRIやCTなどの設備がある医療機関がより確実かもしれません。
但し大きな病院は紹介状がないと受診できなかったり、費用が高くなることがあるので、近隣の整形外科などを受診後必要に応じて紹介してもらう方法が良いでしょう。
お医者さんで行われる治療の例
股関節周りの筋肉が硬くなることで、関節の動きが制限され痛みが起こることがあるため、痛みがひどくない場合はストレッチ運動を行います。
ストレッチは炎症部分の筋肉を柔らかくする効果があり、筋肉の柔軟性が高まると股関節への衝撃が軽減されるため、股関節の痛みが和らぐことに繋がります。
薬物療法としては継続している痛みをとる慢性疼痛薬、神経的なチクチクとした痛みをとる神経障害性疼痛薬など様々な鎮痛剤が用途に応じて処方されます。
物理用法としては杖や補装具の使用や電気を当てるなどの治療です。手術は最終手段で、先ずは保存療法と言われる運動療法・薬物療法・物理療法から始めることが多いです。
股関節痛の予防法
股関節の痛みは、股関節周辺の筋肉の硬さや体幹の筋肉不足から起こることが多いです。特に初心者は筋肉量が不足していたり柔軟性が低下している可能性が高いため、股関節へ負荷をかけないように走ることが大切です。
ストレッチで柔軟性を改善し、スロージョギングで正しい姿勢を意識しながら徐々に筋力を付けていくことで股関節痛を防ぐことが期待できます。
フォームの矯正
猫背姿勢を矯正するだけで骨盤を前傾しやすくなり、重心を正しい位置に持っていきやすくなります。猫背姿勢を改善するには視線を前に向けることや腹筋と背筋をバランス良くつかい、背筋がS字カーブになるよう意識することが大切です。
《正しいフォーム》
- 視線を前向10-20mにすることで、胸を張ることができ腕が振りやすくなります。
- 上から吊るされているイメージで背筋を伸ばします。腹筋や背筋を使い上半身を支えるため股関節にかかる体重を外へ分散できるようになります。
- 骨盤をやや前傾にすることで重心が着地の真下になります。この状態は股関節の動く範囲が大きいため、脚を後方にしなるように動かすことができます。
- 腕は肘を曲げ後ろに大きく引くことで股関節を軸にして振り子のように自然と脚が動くきます。
- 着地は一般的にはミドルフット(足裏全体での着地)で、着地面積が広いため股関節への負担が少なく、身体全体を使った走りになると言われています。
ストレッチをする
股関節の動きは骨盤周辺の筋肉の影響を大きく受けます。それらの筋肉をストレッチで柔らかくすることで股関節の可動域が広くなり、スムーズに動かせるようになります。
股関節痛は骨盤周辺の筋肉が硬くなることで骨盤の位置が固まってしまい衝撃を直接受けることになります。
ジョギングの前には特に太ももの前(大腿四頭筋)、太ももの後ろ(ハムストリングス)、太ももの内側(内転筋)、お尻(大臀筋)、骨盤の前(腸腰筋)などを弾むようにストレッチ(ダイナミックストレッチ)することが大切です。
ストレッチは筋肉の柔軟性向上、筋肉に刺激を与えることで少しずつ筋力強化も図れます。
無理せずスロージョギング
初心者や運動から遠ざかっている人は筋肉や腱の柔軟性が低下していたり筋持久力が不足している可能性があります。
身体は肩~胸~腰~股関節、股関節~太もも~ふくらはぎ~足首と繋がっています。例えば肩甲骨が硬いと腕振りをしても骨盤との連動が上手くできないため股関節が痛くなることがあります。
ゆっくりペースのスロージョギングは正しいフォームを意識して走ることできるため股関節の負担が軽減されることが期待できます。
またスロージョギングで現状の体力に合った運動強度で走ることは、筋力を徐々に付けることができるため、股関節や脚などのケガを防ぐことに繋がります。
ジョギング先生のワンポイントアドバイス
腹筋や背筋を使って骨盤をやや前傾に維持することで体幹が鍛えられていきます。日常生活で椅子に座るときや立っているときに姿勢(猫背にならない)を意識することで徐々に筋力がついてきます。
普段から胸を張って前い向いて歩く、脚は太ももからでなく骨盤から動かすことを意識するとお尻の筋肉を使う動作が身についてきます。
【カテゴリー】この記事のカテゴリーはジョギングによるケガです。
まとめ
ジョギングフォームが悪かったり筋肉バランスが異なることで股関節に負担がかかります。痛くなったら無理せず運動強度を下げることや痛みが長引く場合は医療機関を受診しましょう。普段から正しい姿勢を意識しストレッチで筋肉や腱を柔らかくすることで股関節痛を予防しましょう。
健康運動実践指導者・健康管理士一般指導員の勉強を通じて、健康について運動・食べ物・メンタルなど多くの知識を身に付けています。
知識を知恵に換え実践することで、今でも体力年齢は20歳代をキープし、「華麗に加齢」を目指しています。 2019年3月から、一般社団法人日本ランニングファシリテータ協会認定コーチとして、イオンモールで朝活ランニングの指導をするなど、走る楽しさを伝えています。