健康な脳の作り方!物忘れや痴呆、脳委縮を解説

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脳を活性化する習慣があるか否かで、脳年齢の個人差が開いていきます。脳を若々しく保つ秘訣は普段の生活でルーティーンをできるだけ避けることです。今からでも遅くありません。脳年齢を若くするために、脳を刺激し機能をフル活用して過ごしていきましょう。

健康カウンセラーの林さとみと申します。私が皆様のお悩みを解決します!
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ
相談者のAさん
相談者のAさん
味噌汁と健康の関係が知りたいです。

加齢で脳は委縮する?

加齢で脳は委縮する

脳全体には、140億個の「神経細胞」がありますが、20歳前後をピークとし、30歳代くらいから徐々に減少し、脳が萎縮していきます。

脳の重さは、体重の2%程度ですが、90歳になると60歳の脳よりも5~7%程度軽くなると言われています。

脳の神経細胞同士のネットワークが上手く働かず、以前はできていたことができなくなったり、少し考えないと行動できなくなったりします。

萎縮の早さや程度は個人差が大きく、また脳の部位によっても違いがみられます。

脳の萎縮する原因

原因の一つは、「神経細胞数の減少」です。毎日10万個の神経細胞が減少しているという説もありますが、脳には「代償能力」があるため、残った神経細胞が新たな神経伝達経路を作り、脳の機能に大きな影響を及ぼすことはありません。

また、アルコールも原因の一つです。アルコール依存症の人は、脳萎縮が高い割合でみられます。

しかし、飲酒する人で、1-6本(ビール350ml相当を1本とする)程度は、認知症の危険性には関係しないか、若しくは予防する可能性があると言われています。

元々飲酒する習慣がない人が飲酒した場合、認知症を予防するという証拠はどこにもありませんのでご注意ください。

他には脳の外傷、脳血管障害(脳梗塞、脳出血)、アルツハイマー病・前頭側頭型認知症・レビー小体病などの脳の神経細胞が変性して起こる変性疾患があります。

相談者のAさん
相談者のAさん
やっぱりアルコールはほどほどにしないといけませんね。

脳が委縮するとどうなるのか

脳が委縮が病的に起こった場合は、認知機能が低下し、いわゆる認知症が発症します。発症すると、物忘れや短期記憶障害(少し前のことを覚えられない)だけではなく、見当識の障害(「今がいつか(時間)」「ここがどこか(場所)」がわからなくなる状態)、うつのような症状が出ることもあります。

前頭葉の萎縮が肉眼で確認できるほど進むと、その人の30歳代までと比べて、意欲や創造性といった能力が明らかに乏しくなってきます。

そして50~60歳代に入り、さらに本格的に前頭葉機能が落ちてくると、感情を抑制する力も衰えてくるため、些細なことでカッとなって部下や家族を罵倒してしまうことが増える場合があります。

物忘れと認知症の違い

物忘れと認知症の違いを紹介します。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

「物忘れ」は、年齢をかさねるにつれて誰にでも現れる現象ですので、心配する必要はありません。

しかし、過去に体験したこと自体を忘れてしまう場合や、現在進行形でおこなっている動作の目的そのものを思い出せなくなる場合は、認知症の予兆と言えます。

「認知症」は病名ではなく、病気によって生じる症状・状態の総称です。

物忘れとは

記憶を司るのは大脳辺縁系の海馬です。加齢に伴い、記憶力・判断力は低下していきますが、これは、年齢を重ねることによる「物忘れ」です。

例えば、「友人の名前を思い出せず、1分位してからやっと思い出した」「車のカギをしまった場所が思い出せない」「夕食に何を食べたか思い出せない」といったことですが、忘れた自覚があり、行動をたどることによって思い出したりし、日常生活・社会生活に支障はなく心配する必要はありません。

また幻想や妄想は起こらず、人格に変化もありません。

認知症とは

認知症は、「記憶障害」「見当識障害」「認知機能障害」「注意力の欠如」などが主な症状として現われ、日常生活を送るにあたって必要な機能がうまくいかなくなってしまった状態のことを意味します。

「食事した事実を思い出せない」「買い物に出かけ、途中で外出した理由を忘れる、また自分の居場所がわからなくなる」「相手の表情を見て色々と推測する力が失われるてくる」「様々な作業が雑になる」ということが現れてきます。

ヒントがあっても思い出せない、忘れたという自覚もありません。幻想や妄想が起こる場合があり、また人格が変化することもあります。

認知症の代表的なものでは、アルツハイマー型認知症や前頭葉側頭葉型認知症、レビー小体型認知症、脳血管性認知症などがあります。

アルツハイマー型認知症記憶を司る海馬や頭頂葉といった脳細胞が広範囲で委縮することで発症します。男性に比べ女性に多く発症するのが特徴です
前頭側頭型認知症主に人格を司る前頭葉と言語を司る側頭葉が委縮する病気で、怒りっぽくなるといった人格面での変化に始まり、最終的には重度の記憶障害を引き起こします
レビー小体型認知症大脳の皮質の神経細胞内に「レビー小体」と呼ばれるタンパク質が溜まることによって起こります。男性に多く見られるのが特徴です
脳血管性認知症脳梗塞やくも膜下出血など、脳の血管障害によって起こる認知症で、病気や事故をきっかけに発症します。血栓ができる箇所によって失われる機能にも個人差があります

認知症の確認は画像診断で画像検査は、萎縮や血液の流れの特徴を調べることで、認知症の種類や進行の程度を評価するうえで有用な情報になります。

「CT」や「MRI」で脳の形をみる検査で、脳の萎縮が見られるアルツハイマー型認知症の発見が容易になりました。

また脳の血流を測る「SPECT」、脳の代謝を測る「PET」といった検査もあり、診断の為の重要な手がかりを得ることができます。

 


【MRI検査T1強調画像】
脳を水平に“輪切り”にするように撮影した画像(水平断面像)です。上の健康な人に比べて、下のアルツハイマー型認知症の人の脳では、黄色い矢印で示した空洞(側脳室下角(そくのうしつかかく))や、赤い矢印で示した空洞(側脳室体部(そくのうしつたいぶ))が広がっているなど、異常がみられます。

出典URL:(https://www.nmp.co.jp/public/info2/index.html)

健康な脳を維持する方法

健康な脳を維持する方法

日常生活におけるルーティーンをなるべく避け、脳に新しい刺激を与えるようにしましょう。積極的に新しいことにチャレンジする精神的な若々しさと好奇心が大事です。

会話の機会を増やしたり、ウォーキングなどで身体を動かしたり、先読み思考で物事を関連付けて考えたりと、思考のマンネリ化で脳がサビつかないよう、自分なりの工夫をしてみましょう。

また、脳を休ませることで、記憶を保持する力が高まるため、きちんと睡眠時間を取ることも大切です。

ぜひ参考にしてくださいね。
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

文章の読み書きや計算をする

本を音読しているとき、簡単な計算問題を解いているときは、前頭前野を中心として脳が活性化することが分かっています。

もう少し知的な前頭葉の鍛え方としては、自分とは真逆の、相容れない意見の本をあえて読んでみるのも良い刺激になります。

この前頭前野が活性化されると、人はイキイキと活発になり、記憶力や集中力も高まることが分かっています。

また、同時に複数の作業を行うと脳の活性化に繋がります。例えば、聞く・手を動かす・覚えるなど3つのタスクを同時に行う、テレビを見ながらメモを取るなど普段の生活に取り入れてみましょう。

食べ物に気を付ける

食事の質が良いこと、具体的には、野菜・果物・海藻類・大豆食品・ナッツ・乳製品・魚類などを十分に摂取し、清涼飲料水(砂糖入り飲料水)が少ないことは、脳容積、灰白質容積、白質容積、海馬容積が大きい傾向という結果があります。

このことから、食事の質を改善することで、高齢者の思考スキルを維持できる可能性が期待できます。

健康的な食事は、体重や血圧・血糖値・コレステロール値を改善でき、血液をサラサラ状態にし、血管の老化を抑えられます。

また、食べ過ぎ、早食いは脳の血管に良くありません。「先ずは野菜⇒汁物」の順で食べること、「一口30-40回噛む」ことで脳の満腹中枢を刺激し食べ過ぎを防ぎ、健康を意識した食生活を送りましょう。

料理をする

料理を習慣化することにより前頭前野機能や認知機能が向上し、脳が若返ることが実証されています。

「料理のメニューを考える」「食材を切る」「盛り付ける」などの料理の一連の作業は、脳の血流量を増やし、前頭葉だけでもかなり活性化し、音読や計算中などの血流量と比べても遜色ないほど活性化するという研究結果があります。

料理は味覚・触覚・視覚・聴覚・嗅覚といった五感をすべて使うので、脳の各領域がまんべんなく刺激されるため、認知症予防にも効果があります。

レシピを見ないで料理をすることで「創造力」、過去に作ったものを思い出すことで「記憶力」、材料から何を作れるか完成品の味や見栄えを考えることで「想像力」が鍛えられていきます。

それにより、コミュニケーションなど社会生活に必要な能力の向上効果が期待できます。

趣味を楽しむ

趣味で使われる脳は右脳(イメージ、空間認識)が中心で、前頭葉の機能にも大きな影響を与えます。

仕事で使う脳は左脳(言語、論理)が中心で専門領域に偏るため、趣味を持つことで脳が活性化されます。

前頭葉には、「物事を考える」「計画する」「創造する」「感情をコントロールする」「コミュニケーションを図る」などの役割があります。

「物忘れ」は前頭葉の機能が衰えることで起こります。趣味の多くは前頭葉の働きが欠かせないため、趣味を持つことで物忘れ防止効果も期待できます。

また、趣味は気晴らしになり心がリフレッシュされるため、ストレス解消にも役立ちます。

ウォーキングをする

身体を動かすことは、脳の活性化に役立ちます。特にウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、脳全体の衰えを防ぎます。

ウォーキングにより普段より多くの酸素が取り入れられ、血液の流れが良くなり、脳内の血液が増えることで、脳の神経細胞が活発に働くようになります。

また、運動を習慣化できれば、「血糖値・血圧が下がる」「ストレス解消になる」「夜がよく眠れる」など効果が期待できます。

先ずは、1日30分(1回10分を3回に分けても効果は同じです)のウォーキングを週3日続けて、一週間の合計が1.5時間を目標に行ってみてください。

特に男性はウォーキングにより、脳の前頭葉の萎縮は悪化しにくいことが証明されています。

しっかり睡眠をとる

脳は、体重の2%程度の重さですが、身体が消費するエネルギー全体の20%以上を消費し、その内の60-80%を脳が意識的な活動をしていないときに消費すると言われるくらい脳は常に働いています。よって、脳をリラックスさせしっかりと疲労を回復させることが大切です。

脳の疲労は、自律神経が乱れたときに溜まりやすいため、副交感神経を優位にし脳をリラックス状態にすることが重要です。

睡眠には、脳を休め疲れを取り除き、細胞を再生・修正・ストレスをリセットするなどの役割があります。

睡眠時間を十分に確保することも必要ですが、眠りの「質」を考え、睡眠による最大の効果を得るようにしましょう。

健康カウンセラー林さとみのワンポイントアドバイス

生活におけるルーティーンを意図的に変えましょう
ジョギング先生 林さとみ
ジョギング先生 林さとみ

私たちの生活の80%がルーティン(習慣)と言われています。そこで、敢えてウォーキングのコースを変えてみることや、いつもは時計回りで歩いていれば反時計回りにするなど、少しの工夫でルーティンを避けてみましょう。

またウォーキングしながら「しりとり」をするなど、同時に複数の作業を行うことで脳に様々な刺激を与え脳をイキイキとさせましょう。

健康な脳のまとめ

脳に刺激を与えることが脳の若々しさを保つ秘訣です。億劫からず、面倒がらず新しいことに挑戦する気持ちが大切です。

また、身体の健康を保つ秘訣である、栄養バランスの良い食事・適度な運動・質の良い睡眠が、脳の健康のためにも重要です。

しっかり咀嚼(噛むこと)すること、食材を購入し楽しんでお料理すること、親しい人とお喋りしながらのウォーキング、日中に身体を動かすことで程よい疲れが質の良い睡眠に繋がります。生活全体を見直して身体も脳も元気にしていきましょう。